どつちか主役?(バイデン氏とハリス氏=AFP=時事)
民主党予備選に自費で参戦した億万長者のブルームバーグ氏は、一時はトップ争いに食い込む勢いを見せていたが、女性の有力候補だったエリザベス・ウォーレン氏をからかうような発言などで集中砲火を浴び、あっけなくドロップアウトしてしまった。そのブルームバーグ氏が、ついにバイデン氏のために一肌脱ぐことを決意したのである。バイデン氏を含む他の予備選候補から容赦ない排斥を受けたことを考えれば、なかなか懐の深い決断だ。
それにしても、トランプ氏がスキャンダルで減速し、ブルームバーグ氏が巨費を投じて援護射撃しても、バイデン氏の支持率が上がらないのはなぜか。K氏に質した。「バイデン氏の健康問題、高齢問題の影響はどうか。仮に大統領選挙に勝っても、就任時は78歳。2期目の就任時は82歳になる。8年間務めれば退任時は86歳だ。現実的にこれは難しいように見える。だとすれば、副大統領候補のカマラ・ハリス氏がバイデン政権の途中で大統領に就任する可能性も十分にある。民主党はそのシナリオまで考えているのか」。
今も民主党中枢と強いコネクションを持つK氏は、さすがに慎重な答え方をしたが、そのいわんとすることは十分に伝わってきた。「私は確かな情報を持っているわけではない。しかし当然、その可能性は十分に考えたうえでの副大統領候補への抜擢だった」。
バイデン氏はまだ薄氷を踏む戦いを強いられているが、民主党中枢部は、すでにバイデン勝利後のシナリオとして、史上初の女性大統領を考えているようである。バイデン氏はあくまで「対トランプ」の対抗馬であり、新しい政権の「本命」はハリス氏なのか。トランプ氏の再選が難しくなりつつある今、実はこの大統領選挙で有権者に問われているのは、「ハリス大統領」に対する信任なのかもしれない。