国際情報

トランプの逆襲を予感させたバイデン「なまぬるい市民集会」

「与党質問」ばかりが目立った市民集会(AFP=時事)

 日本では、新聞やテレビの新政権「ご祝儀報道」がネットを中心に批判され、有権者をうんざりさせている。菅新首相の過去の政策や言動はほとんど報じない一方で、「女子に赤面するシャイな少年だった」とか「そばを食べるのが早い」など、親しみやすさをアピールするヨイショ記事が目白押しだ。対照的に、アメリカでは政治報道も政治家同士の論戦も激烈だ。大統領選挙ともなれば、少しでも気を抜いたり弱みを見せたりしたら徹底的に叩かれる。真剣勝負である。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、世論調査でリードを広げる民主党のバイデン氏には隙が見える、と分析した。

 * * *
 9月17日、CNNの主催で民主党の大統領候補、ジョー・バイデン氏のタウンホール・ミーティングが開かれた。ドライブイン形式で集まった有権者からの質問に答える構成で、コロナ禍の選挙で数少ない市民と直接対話する機会だった。バイデン氏は、富豪の家に育ったトランプ大統領に対して自分は中間層出身であることや、トランプ政権のコロナ対策が株価や企業ばかり気にしていることなどを訴えた。

 アメリカに渡って46年、いくつもの大統領選挙を見てきた。戦いのクライマックスはテレビ討論会であり、前哨戦であるタウンホール・ミーティングも重要だ。今回はテレビ討論会は9月29日を皮切りに3回予定されている。

 その歴史上の戦いでは数々の名勝負も生まれた。それをきっかけに、それまで積み重ねてきたリードが帳消しになった例もある。例えば、再選を目指したブッシュ(父)氏が若きクリントン氏の挑戦を受けた1992年がそうであった。当時、ブッシュ氏は湾岸戦争に勝利し、再選間違いなしと見られていた。しかし、選挙前に不況に入り、タウンホール・ミーティングでは参加した若者から経済政策について厳しく追及された。ブッシュ氏は「早く終わらないかな」という態度が見え見えで、チラッと腕時計に目をやった。その所作が致命傷となり、そこから流れが一気にクリントン氏に傾いたのである。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン