菅義偉首相が総務大臣だったときに「ふるさと納税」は始まった(時事通信フォト)

菅義偉氏が総務大臣だったときに「ふるさと納税」は始まった(時事通信フォト)

 世田谷区が用意したふるさと納税のメニューのなかでも特に話題を呼んだのが、三軒茶屋と下高井戸の約5キロを結ぶ東急世田谷線の宮の坂駅前に保存・展示されている車両の再塗装費用を集めるというものだった。

 宮の坂駅前に保存・展示されていた車両は、世田谷線の前身でもある玉川電気鉄道として使われていた。玉川電気鉄道は東急世田谷線へと姿を変えた今でも、地元住民から”たまでん”の愛称で親しまれている。

 同車両は1969年に玉電 から引退。新たに、江ノ島鎌倉観光(現・江ノ島電鉄)に引き取られて、1990年まで現役車両として活躍した。江ノ電での役目を終えた車両は、再び故郷である世田谷線に戻ってきた。そして、宮の坂駅前で保存展示された。

 しかし、宮の坂駅前の展示スペースには屋根がない。雨ざらしのままでは、車体が早く腐食する。そうした事情もあり、宮の坂駅前に保存・展示されていた車両の再塗装を求める声があがる。

 2017年に世田谷区は、玉電車両の再塗装費用をふるさと納税で集めることにした。目標金額は660万円。玉電の再塗装費用は全額を集めることは叶わなかったが、約550万円を集めることに成功した。こうした過去の事例もあり、世田谷区は世田谷公園内に保存・展示されていたSLのD51の修繕と再塗装費用を捻出するために、2019年度のふるさと納税のメニューにこれを加えた。

「以前、玉電車両の再塗装費用を賄うふるさと納税を実施した際、区民のみならず多くの鉄道ファンがふるさと納税で支援してくれたと聞いています」と話すのは、世田谷区公園緑地課の担当者だ。

 今回のD51は前回よりも費用がかさみ、目標金額は倍以上の1500万円に設定された。それだけに、ハードルはさらに高くなっている。

「二匹目のドジョウを狙っているように思われるのですが、庁内では『SLのふるさと納税プロジェクトは、玉電につづく鉄道モノの第2弾と見られるので話題性も乏しくなり、新鮮味がなくなるので、ふるさと納税の集まりは前回よりも悪くなる』との懸念が強くありました。実際、世田谷公園を日常的に利用してくれる近隣住民を中心に多額の支援をいただいていますが、目標金額には遠く及びません。そのため、募集期間を延長して、さらなる支援を集めています。区の周知不足もあり、延長しても集まりがいいとは決して言えませんが再延長はありません。展示・保存されているD51の老朽化は激しく、修繕・塗装の作業を遅らせてしまうと費用がさらに膨らむからです。そうした事情から、2021年3月末を最終期限に設定し、それまでに集まったふるさと納税で修繕・再塗装を実施する予定にしています」(同)

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