塗装費用の募集中
世田谷公園内に展示・保存されているD51のふるさと納税プロジェクトでは、3つのプランが用意されている。Aコースは寄付額1万円、Bコースは寄付額3万円、Cコースも同じく寄付額3万円。Aコースは寄付者名の掲示・記念写真・ヘッドマークデザインの応募権といった特典がつく。Bコースは、Aコースの特典に世田谷公園内で運転されているミニSLの乗車券がプラスされる。
さらに、Cコースは再塗装を実際に体験できるプランが追加されている。Cコースは、レアなことを体験できる。鉄道ファンならずとも、貴重な体験をしてみたいと考えるだろう。そうした希少性から、募集開始と同時にCコースへの寄付が殺到した。そして、すぐに先着30名の枠が埋まった。
「塗装体験ができるCコースが想像以上に人気だったことには驚くばかりですが、塗装作業は安全面を確保するという観点から、好評でも募集人数を増やすことができません。そのため、30名の先着限定になりました」(同)
Cコースの寄付額設定を見誤って低くしてしまったようにも思えるが、世田谷区としては広く薄く集めるという考えに徹し、多額の支援を住民や支援者に求めるという発想がなかったのだろう。ある意味で、金儲けの発想がなかったことがふるさと納税に苦戦している要因ともいえる。
貴重な体験ができるCコースは早々に募集を終了したが、残ったAコース・Bコースの集まりはいいとは言えない。2020年8月29日までに集まったふるさと納税額は、総額で258万円。残された期間は約半年しかない。目標金額を達成するには、約1240万円を集めなければならない計算になる。現実的に考えれば、かなり厳しいだろう。
ふるさと納税の生みの親である菅義偉議員が首相に就任することで、ふるさと納税が再注目される可能性は出てきた。そうなれば、世田谷区が取り組むふるさと納税も脚光を浴びるかもしれない。それにより、世田谷公園に展示・保存されているSLの再塗装・修繕の費用が少しでも多く集まることを期待したい。