国内

世田谷公園のSL車両 「ふるさと納税で再塗装」に高い壁

ふるさと納税で保存費用を集めている世田谷区のSL車両

ふるさと納税で保存費用を集めている世田谷区のSL車両

 第99代内閣総理大臣となった菅義偉氏は、官房長官として安倍晋三内閣を支え、新元号「令和」を発表した人としてよく知られているが、初入閣は総務大臣としてだった。そのとき導入されたのが「ふるさと納税」で、使途を指定した納税ができる制度として定着しつつある。ところが、ふるさと納税の種類が多すぎて、一定の共感を集められそうな内容でも苦戦しているものが少なくない。ライターの小川裕夫氏が、SLの車両保存のために設定した世田谷区のふるさと納税が苦戦している現状をレポートする。

 * * *
 7年8か月もの長期政権が終わりを告げ、新たに菅義偉首相が誕生した。自民党総裁選中、菅氏は総務大臣時代に導入したふるさと納税を地方への取り組み実績として挙げた。

 2006年に発足した第一次安倍政権で、菅氏は総務大臣に就任。有識者の議論を経て、翌年にふるさと納税の創設を発表。こうして、ふるさと納税は2008年度からスタートした。ふるさと納税は、”納税”という名称ながら、寄付として扱われる。その寄付の見返りとして、税額控除などの特典がつく制度だ。

 制度のスタートからいくつかの紆余曲折はあったものの、ふるさと納税は世間一般にも浸透した。いまやその規模は5000億円にも及んでいる。

 ふるさと納税は、豪華な返礼品を用意することで自治体間が税源を奪い合う現象を生んだ。海産物や和牛といった耳目をひく特産品がない自治体からは、不満が噴出。特に、東京の自治体からは反発が根強かった。豪華な返礼品を用意できない自治体は、ふるさと納税では苦戦を強いられることになる。

 しかし、そうした逆風でも工夫を重ねた自治体もある。東京都世田谷区も、ふるさと納税のメニューに工夫を凝らした自治体のひとつだ。

 世田谷区は使途を明確化することで、ふるさと納税を集めようとした。世田谷区のふるさと納税では、東京五輪でアメリカ選手団がキャンプを実施する予定があった大蔵運動場 の改修資金をはじめとして、テーマを絞ったふるさと納税のメニューを複数揃えた。使途を明確化したことで、自分の寄付したお金が何に使われたのかがわかりやすくなり、それが寄付を呼びこむ効果を高めた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎・ストーカー殺人》「悔しくて寝られない夜が何度も…」岡崎彩咲陽さんの兄弟が被告の厳罰求める“追悼ライブ”に500人が集結、兄は「俺の自慢の妹だな!愛してる」と涙
NEWSポストセブン
グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカル
【ニコラス・ケイジと共演も】「目標は二階堂ふみ、沢尻エリカ」グラドルから本格派女優を目指す西本ヒカルの「すべてをさらけ出す覚悟」
週刊ポスト
阪神・藤川球児監督と、ヘッドコーチに就任した和田豊・元監督(時事通信フォト)
阪神・藤川球児監督 和田豊・元監督が「18歳年上のヘッドコーチ」就任の思惑と不安 几帳面さ、忠実さに評価の声も「何かあった時に責任を取る身代わりでは」の指摘も
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン
赤穂市民病院が公式に「医療過誤」だと認めている手術は一件のみ(写真/イメージマート)
「階段に突き落とされた」「試験の邪魔をされた」 漫画『脳外科医 竹田くん』のモデルになった赤穂市民病院医療過誤騒動に関係した執刀医と上司の医師の間で繰り広げられた“泥沼告訴合戦”
NEWSポストセブン
被害を受けたジュフリー氏、エプスタイン元被告(時事通信フォト、司法省(DOJ)より)
《女性の体に「ロリータ」の書き込み…》10代少女ら被害に…アメリカ史上最も“闇深い”人身売買事件、新たな写真が公開「手首に何かを巻きつける」「不気味に笑う男」【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年はMLBのワールドシリーズで優勝。WBCでも優勝して、真の“世界一”を目指す(写真/AFLO)
《WBCで大谷翔平の二刀流の可能性は?》元祖WBC戦士・宮本慎也氏が展望「球数を制限しつつマウンドに立ってくれる」、連覇の可能性は50%
女性セブン
「名球会ONK座談会」の印象的なやりとりを振り返る
〈2025年追悼・長嶋茂雄さん 〉「ONK(王・長嶋・金田)座談会」を再録 日本中を明るく照らした“ミスターの言葉”、監督就任中も本音を隠さなかった「野球への熱い想い」
週刊ポスト
12月3日期間限定のスケートパークでオープニングセレモニーに登場した本田望結
《むっちりサンタ姿で登場》10キロ減量を報告した本田望結、ピッタリ衣装を着用した後にクリスマスディナーを“絶景レストラン”で堪能
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
笹生優花、原英莉花らを育てたジャンボ尾崎さんが語っていた“成長の鉄則” 「最終目的が大きいほどいいわけでもない」
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《本誌スクープで年内活動辞退》「未成年アイドルを深夜自宅呼び出し」SKY-HIは「猛省しております」と回答していた【各テレビ局も検証を求める声】
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん
亡くなったジャンボ尾崎さんが生前語っていた“人生最後に見たい景色” 「オレのことはもういいんだよ…」
NEWSポストセブン