ここ数年で、雑誌やテレビで「eスポーツ」という言葉を目にすることが急激に増えた。「世界大会」、「高額賞金」、「プロゲーマー」といった華やかなキーワードと共に紹介されることが多い。だが、これだけブームになっている一方で、eスポーツの“正体”を正確に把握している人は少ない。
そもそも「eスポーツ」と「ゲーム」の違いは何なのか。一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)のホームページでは、次のように説明されている。
〈「eスポーツ(esports)」とは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称。〉
つまり、「ルールのもとで競い合うことができるゲームはすべてeスポーツだ」と言える。極論をいえば、ゲームタイトルの数だけ競技があるということになる。実際にeスポーツとして大会が行われている種目は、1対1で戦う格闘ゲームもあれば、チームを組んでプレイする競技もある。陸上競技のようにタイムを競い合うものもある。
一体いつから「eスポーツ」という言葉が使われるようになったのだろうか。
その名に「eスポーツ」を冠した団体が設立されたのは、2000年の「韓国eスポーツ協会(KeSPA)」が世界初だといわれている。だがそれ以前にもeスポーツという言葉は使われており、インターネット上に存在する記事では1999年にヨーロッパで発足したオンラインゲームに関する協会「Online Gamer Association」に関する記事で、文中に”eSports”という言葉が登場している。現在のところ、これ以上古い文献で「eスポーツ」の言葉が登場するものは確認できていない。
アメリカのゲーマー事情に詳しい一般社団法人令和トーナメント理事の中村鮎葉氏は「eスポーツという言葉は当時の文化的背景が反映されて生まれたのではないか」と推測する。
「1990年後半当時は、パソコンやインターネットの普及とともに、電子メールを指す『eメール』やネットを介した売買を指す『eコマース』といった、頭に『e』が付く言葉が世間に浸透し始めていた時期でした」