いしだあゆみが熱演した女性像とは

 シリーズ1作目第1話で、古谷一行演じる宏の妻・久子(いしだあゆみ)は、こんなせりふを口にする。

《間違っているとか正しいとか、そういう問題じゃないでしょ、男と女は》

 ここから、鎌田さんのメッセージがくみ取れる。

令和の女性は自由になったのか

『金妻』の1作目放送から37年経ったいま、鎌田さんの目には、女性がどのように映っているだろうか。

「当時に比べて、女性は自分自身の思いで生きようとしているし、自分で自分の人生を考えられるようになったと思います。親が結婚に口を出すことも少なくなり、仕事の内容も多様化。1つの仕事にしがみつく必要性もなくなりました」

 つまり、『金妻』シリーズに登場する女性たちの生き方が、ようやく等身大のものになったといえる。

「ただ、自由になったから孤独にもなった。自由には責任が伴うと言う人が多いのですが、ぼくは、自由に伴うのは孤独だと思っています。孤独を恐れ、自由への憧れは前ほどなくなっているのかもしれない。“みんな一緒”の同調圧力を快適に感じている人が多いのは、自由ゆえの孤独や不満を投げ出したくなっているからではないでしょうか」(鎌田さん)

 自由に生きていいのに、現実問題、自由を謳歌するどころか、人と一緒であることに安心感を覚えてしまう。そんなジレンマを抱えているのが、令和の女性ではないかという。

 鎌田さんは、現在も精力的に新作を生み出している。次に描くのは一体どんな女性なのだろうか──。

※女性セブン2020年10月8日号

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