芸能

『金妻』脚本の鎌田敏夫氏 ドラマにモラル入れちゃいけない

1作目は古谷一行主演を大前提に作られた

 放送日の金曜夜10時には、主婦が電話に出ない──とまでいわれるほどに、人気を博した伝説のドラマシリーズ『金曜日の妻たちへ』(以下、『金妻』)。

『金妻』は、1983年から1985年にかけてTBS系で放送された。夫婦の友情、既婚女性のセックス観、不倫などといった、当時のドラマ界ではありえなかったテーマが描かれた。

 いわば、家族で安心して見られるホームドラマではなく、“大人のドラマ”だった『金妻』。このおかげで、放送時間の金曜日の22時になると、早く寝るよう、子供が親に急かされるという、ちょっとした社会現象も起こったほどだ。

 しかしその後、このドラマは意外な方向にイメージづけられていく。“不倫ドラマの代名詞”“浮気を明るく描いている”などと称されるようになるのだ。これには脚本家・鎌田敏夫さんも「意外だった」と苦笑する。

「浮気はあくまで、夫婦の友情物語を盛り上げるための起爆剤の1つとして描いたんです。3組の夫婦のうち1組が離婚の危機に直面したら、ほかの夫婦が説得するなど互いに助け合い、絆を深めていく──そんな仲のよい夫婦の間で何が起きたら、関係性が覆るほどの事態になるか……。それは、夫婦以外の男女が一線を越えた関係になることでしょう。それで浮気を描きました。ところが、そのエピソードだけ切り取られ、独り歩きしてしまった」

 そもそも当時、不倫という言葉は一般的ではなかった。ドラマでも「浮気」という言葉が使われ、それまでのテレビドラマでは「よろめき」という言葉が一般的だった。

 しかしこの「よろめき」という言葉には、背徳感にさいなまれる弱い女性のイメージがあり、それはこのドラマに登場する女性たちとは違う。

 このドラマでは、自分の人生を自分で選択して生きる女性の積極的な姿があったため、「よろめき」ではなく「不倫」という言葉が使われ、独り歩きしていったようだ。

「ぼくは、ドラマにモラルを入れちゃいけないと思っているんです。登場人物の誰も悪くないし、正しくもない。立場が違えば、どの登場人物の気持ちもわかる。だから、誰も嫌いになれない、そう感じてもらえるからこそ、見る人に切ない思いを抱いてもらえるのだと思っています」(鎌田さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

おぎやはぎ・矢作兼と石橋貴明(インスタグラムより)
《7キロくらい痩せた》石橋貴明の“病状”を明かした「おぎやはぎ」矢作兼の意図、後輩芸人が気を揉む恒例「誕生日会」開催
NEWSポストセブン
豊昇龍
豊昇龍が8連勝で単独首位なのに「懸賞金」は1敗の大の里のほうが400万円超も多い!? 指定本数の増加で「千秋楽までにさらに差が開く可能性がある」の指摘も
NEWSポストセブン
イベント出演辞退を連発している米倉涼子。
「一体何があったんだ…」米倉涼子、相次ぐイベント出演“ドタキャン”に業界関係者が困惑
NEWSポストセブン
エドワード王子夫妻を出迎えられた天皇皇后両陛下(2025年9月19日、写真/AFLO)
《エドワード王子夫妻をお出迎え》皇后雅子さまが「白」で天皇陛下とリンクコーデ 異素材を組み合わせて“メリハリ”を演出
NEWSポストセブン
“CS不要論”を一蹴した藤川球児監督だが…
【クライマックスシリーズは必要か?】阪神・藤川球児監督は「絶対にやったほうがいい」と自信満々でもレジェンドOBが危惧する不安要素「短期決戦はわからへんよ」
週刊ポスト
「LUNA SEA」のドラマー・真矢、妻の元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《大腸がんと脳腫瘍公表》「痩せた…」「顔認証でスマホを開くのも大変みたい」LUNA SEA真矢の実兄が明かした“病状”と元モー娘。妻・石黒彩からの“気丈な言葉”
NEWSポストセブン
世界陸上を観戦する佳子さまと悠仁さま(2025年9月、撮影/JMPA)
《おふたりでの公務は6年ぶり》佳子さまと悠仁さまが世界陸上をご観戦、走り高跳びや400m競走に大興奮 手拍子でエールを送られる場面も 
女性セブン
起死回生の一手となるか(市川猿之助。写真/共同通信社)
「骨董品コレクションも売りに出し…」収入が断たれ苦境が続く市川猿之助、起死回生の一手となりうる「新作歌舞伎」構想 自宅で脚本執筆中か
週刊ポスト
インタビュー時の町さんとアップデート前の町さん(右は本人提供)
《“整形告白”でXが炎上》「お金ないなら垢抜け無理!」ミス日本大学法学部2024グランプリ獲得の女子大生が明かした投稿の意図
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ハワイ別荘・泥沼訴訟を深堀り》大谷翔平が真美子さんと娘をめぐって“許せなかった一線”…原告の日本人女性は「(大谷サイドが)不法に妨害した」と主張
NEWSポストセブン
須藤被告(左)と野崎さん(右)
《紀州のドン・ファンの遺言書》元妻が「約6億5000万円ゲット」の可能性…「ゴム手袋をつけて初夜」法廷で主張されていた野崎さんとの“異様な関係性”
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)の“過激バスツアー”に批判殺到 大学フェミニスト協会は「企画に参加し、支持する全員に反対」
NEWSポストセブン