プラウド・ボーイズは各地で大きな衝突を起こしている(時事)
ひとつの言動や事実で人の全体を決めつけるような態度はジャーナリズムの対極にあると言うべきだ。筆者にはある思い出がある。アメリカに住み始めた若いころ、日々の生活に困るほど仕事がなかった。ある日、ウォールストリートに仕事で出かけ、帰りに裏通りのバーに入った。いつの間にか隣の席に座っていた女性がポツリと、「ああ忙しい日だった」とつぶやいた。それをきっかけに話し込むと、なんとその女性はトランプ氏の秘書だった。
トランプ氏と仕事をするのは大変で、夕方5時くらいから真剣に仕事が始まるのだと彼女は言った。それは可哀そうにと筆者が同情すると、彼女は、確かに大変なのだが、トランプ氏はマイノリティに対して温かく接して、距離を置かず話し合う良い人だから仕事がしやすいと話してくれたのだった。アメリカには外国人に冷たい人がたくさんいる。しかし、白人はマイノリティと仕事をし、暮らさなければ生きていけない。普段どのようにマイノリティに接するかは、人となりを大いに反映するものだ。
もちろん、これも筆者が知るトランプ氏の一面にすぎず、だから彼が白人至上主義者ではないという証拠にはならない。が、大統領選挙という国を左右する一大イベントの中では、多くのデマゴーグや偏向報道が生まれやすいことは知っておく必要がある。選挙は、悪人を善人にし、善人を悪人にもする。人々も普段なら騒がないことで騒ぐ。くれぐれも注意が必要である。