吉高由里子も世代を代表する女優のひとり(時事通信フォト)
共通項はまだあります。
ともに「国民的関心事」ともいえる大型の仕事に真正面からがっぷり取り組んだこと。柴咲さんはNHK大河ドラマで主役を張り、吉高さんはNHK朝ドラで主役を演じた。そう、二人に共通する最大のポイントは芯の強さ・タフネスさではないでしょうか。
今やNHKから民放まで広くウイングを広げ、脂ののった30代。20代までのように若さの勢いで突っ走るのではなく、経験に培われた力とその人らしさ・生き様がじわりと滲み出す存在感が武器になる。とはいえこの先、女優としてどのように成熟していくのか。
先月、竹内結子さんが逝去した際「35歳の壁」を指摘する記事が出ました。人気女優であっても「今の日本のテレビ界・映画界には40歳の女優をあえて主人公に作品を作ろうと考えるプロデューサー・演出家がほとんどいない」(「日刊ゲンダイデジタル」2020年10月2日)
たしかに日本の芸能界では年を重ねていく女優の活躍の場は限られていて、最近は中年の男優にスポットライトが当たるようになってはきましたが、女優となると主役など重要な役に抜擢される機会はガクンと減る。さらにコロナ禍によってスケジュールに空きができ不安を募らせている人も多いという昨今。
だからこそ、コロナ禍のこの秋、二人に頑張ってほしい。挑戦しがいのある「ガラスの天井」を勢いよく突破し未知の領域を切り拓き、これからの「格好いいミドル女優」の新世界を作っていってほしい。
柴咲さんは大手芸能事務所から独立した後、実業家としてファッションブランドを設立したり環境問題について発言したり歌手活動をしたりするなど、セルフプロデュース力を発揮しています。一方、『わたし、定時で帰ります。』『知らなくていいコト』等の演技で共感を集めてきた吉高さんは、視聴者にとって「自分らしい生き様を探るモデル」であり、お仕事ドラマの女王とも呼ばれています。
芸能界でも媚びずに個性を発揮してきた二人だからこそ、したたかに自分らしく勝負できるはず。今回のドラマでくっきりと爪痕を残してくれることを願っています。