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2020.10.12 07:00  NEWSポストセブン

ネット上の「いい話」、軽い気持ちでシェアするのが危ない訳

ネットのいい話を盲信する危うさ(時事通信フォト)

ネットのいい話を盲信する危うさ(時事通信フォト)

「ネットde真実」とは、マスメディアの流す情報は信用できず、インターネットで得られる情報がすべて正しいと思い込む行為や、そういった考え方をする人物を揶揄するときに使われる言葉だ。ところが最近は、これが皮肉を込めているという意味が通じない人たちが多勢になりつつある。ライターの森鷹久氏が、ネットによって情報強者になったつもりで危うい状態に陥る人たちについてレポートする。

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 都内在住の会社員・丸岡俊彦さん(仮名・40代)のランチタイムは今日も憂鬱だ。通勤用のリュックから保温バッグを取り出すと、中から出てきたのはかわいい水玉模様の布に包まれた愛妻弁当である。

「作ってくれるのはいいんですけどね……なんというか、美味しくなくて」(丸岡さん)

 この発言だけ見ると、妻の手作り弁当に毒づくモラハラ旦那だ! と聞こえるかもしれないが、どうも事情が違うようだ。

「若干腹回りがたるんできたというと、毎日の弁当がサラダチキンとブロッコリー、あとは茹でた豆ばかりになりました。たまにスープがつきますが、これも全く味がしません。米も全く食べさせてくれないので、朝、こっそりコンビニのおにぎりを食べないと、糖質不足で頭痛がひどくて」(丸岡さん)

 こうくると、丸岡さんに無理なダイエットを強いる鬼嫁……のように見えるかもしれないが、それともまた若干違う。丸岡さんの妻の趣味は、実は「料理」である。ただし、プロが作った料理本や、料理教室に通ってレシピを学んだのではなく、全て「レシピサイト」頼りなのだという。

「例えば豚肉の生姜焼きを作るなら、普通に作ればいいのに、なぜかバルサミコ酢を必要以上に入れたりして味が台無しになる。うま味調味料が体に悪いという情報をSNSで見ると、一切使わなくなる。プロが教える通りにやっていればいいのに、なぜか余計な工夫をしたがるんです。しかも、その工夫は、どこの誰ともわからないユーザーがネットにアップしたものですよ?」(丸岡さん)

 パソコンやスマホが普及し、ネットインフラが充実したことで「国民皆インターネット」と呼んでも差し支えない時代になった。そのため、こうなる以前は知る機会すらなかった多くの情報に、誰もがすぐにアクセスできるようになった。だが、その弊害と言うべきか、正しい情報を見抜けない人、ここで具体的にいえば「プロより素人を信じてしまう人」が続出している。京都市内の皮膚科勤務、看護師の大島今日子さん(40代・仮名)が嘆く。

「ひどいアトピーのお子さんを持つお母さんがいて、定期的に通院するように言っても、全然通ってくれない。どうも、1~2回通院し、症状が改善しなければすぐ、ネットで調べて別の病院に行く、ということを繰り返しているようなんです」(大島さん)

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