スポーツ

高橋尚子、小出監督の練習を回顧 「やめさせて」と直談判

「負ける気がしなかった」というシドニー五輪では、表彰台のいちばん高い場所で、トレードマークの”Qちゃんスマイル”を見せた(共同通信社)

 2000年に行われたシドニー五輪マラソンで、金メダルを獲得した高橋尚子(48才)。Qちゃんの愛称で親しまれてきた彼女が陸上と出会ったのは、中学生のころ。陸上部で800mを中心とした中距離の選手となり、中学2年生で出場した岐阜県大会の新人戦で初優勝した。その後、スポーツ強豪校である県立岐阜商業高校に推薦で入学。陸上部の監督だった中澤正仁さんと出会う。

 中澤監督の指導を受けた後は、大阪学院大学に進学。ここでも中距離の選手として活動していた。大学卒業後は陸上をやめ、教師になるつもりだったが、名将・小出義雄監督(享年80)との出会いが人生を一変させる──。高橋さんが、当時を振り返る。

 * * *
 商業課程の先生になろうと母校で教育実習も受けました。でも、教壇に立ったときにふと、「この先、どうしよう」と思って。教師になるのが嫌になったわけではありませんが、もう少し陸上を続けたいという思いがふつふつと湧き上がってきたんです。

 それで、大学時代に一緒に練習させてもらっていた実業団にお世話になろうと中澤先生に電話をしたら、「3年くらい続けるみたいな気持ちで行くならやめろ」と言われました。

「やるなら日本一になるくらい高い志を持って進まなければ、成功しない。たとえば、小出監督に見てもらうとか……」って。このとき、初めて小出監督の名前を知りましたが、その後、中澤先生から小出監督のエピソードをたくさん聞いて、そんなにすごい監督ならお会いしたいと思うようになり、大学の監督にお願いして連絡をとっていただいたら、運よく近くに来ていらして、ある日の朝食前に30分だけ会ってもらえることになったんです。

 でも、いざお会いしたら、「残念だけど、うちは企業の方針として大学生はとらないんだ」と言われてしまいました。就職浪人だと諦めかけていましたが、お会いしたことで、ますます監督の指導を受けたくなり、「なんとか合宿に参加させてもらえませんか」と必死でお願いして、北海道で行われた10日間の合宿に自費で参加することができたんです。

 合宿では、自分でもこんなに頑張れるんだと思うくらい必死に練習をしました。すると、最終日に監督に呼ばれて、「給料は安くなるけど、契約で来るかい?」と言われ、「もちろんです!」と答えました。

 この出会いが私のすべてでしたね。オリンピックで金メダルを獲ったことよりも、小出監督に巡り合わせてもらえたことが、私の人生の最高の瞬間だったと思います。

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト