2019年夏、韓国では「NO安倍」を掲げる運動が盛り上がった(EPA=時事)

 ユニクロだけではない。韓国輸入自動車協会が10月7日に発表した輸入車の販売統計によると、韓国で9月に新規登録された日本車は1458台で、前年同月比で32.2%増を記録したという。不買運動が始まって以来、日本車は低迷し続けてきたが、今年8月に初めて増加に転じ、2か月連続で販売が拡大した。特にレクサス(トヨタの高級ブランド)は前年同月比49.5%の増加である。

 日本製品の不買運動がようやく収束しつつあるのではないか。韓国人作家の崔碩栄氏は、こう答える。

「韓国の国内では反日不買運動がバカにされる傾向が出てきています。プレイステーション5の予約販売分がすぐに完売となったほか、ニンテンドースイッチが大ヒットしていて、批判する声もあるのですが、買っている人は『欲しいものを買って何が悪い』と開き直り、批判する人を逆にからかったりしている。韓国の若者を陥落させたのだから、この2つのゲーム機は偉大です(笑)。

 ただし、反日ムードが和らいだというわけではありません。自分が使うお金に対して正直になっただけ。ユニクロにしても、日本と同じで若者を中心に安くて品質、デザインがいいと評価されていて、韓国製品や他の海外製品と比較して選んでいるだけでしょう」

 トヨタのレクサスも、もともと韓国でのブランド力は絶大だった。実際、韓国の高官もレクサスを所有していることが報じられている。

「そもそも去年の不買運動が異常だったのです。感情的な盛り上がりから日本製品不買運動が始まりましたが、結局、フッ化水素などの3品目の輸入はできていて、産業には影響が出ていないので、冷静になりつつあるのだと思います」(崔氏)

 ただ、不買運動が沈静化したとしても、対立の発端となった元徴用工の問題は何ら解決していない。日本の外務省幹部は、「韓国側が差し押さえた日本企業の資産を売却しない」との韓国政府の確約がなければ、韓国が開催を目指す日中韓首脳会談に菅義偉首相は出席しないとの認識を示している。まだ予断は許されない。

●取材・文/清水典之(フリーライター)

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