国内

コロナで増える女性の自殺 安倍政権下での雇用政策の影響も

三浦春馬さんに続き、芸能界で訃報が続いている

 今年7月の三浦春馬さん(享年30)に続き、芦名星さん(享年36)、竹内結子さん(享年40)と、芸能人の自死が続いた。3人とも、亡くなる直前はいつもとさほど変わった様子はなく、親しい人も「理由がわからない」と口を揃えたと報じられている。

 華やかな世界に生き、たくさんの人から愛されて、地位も名声もお金もあったはずなのに、なぜ自ら命を絶ったのか──多くの一般人も、そんな思いとともに胸を締めつけられた。社会学者で大学院大学至善館教授の橋爪大三郎さんが考察する。

「“自ら死を選んだ”ということはきわめてショッキングなために目立ちますが、自殺を選ぶ人は、割合でいえばごく少数。でも、その少数の人たちが死を選んだ理由は、誰にもわからない。

 生きていることは“現実”ですが、生前に死を経験することは誰にもできず、“空想”するしかありません。だからこそ、一部の人は“死は現実より美しい”“死は生よりよいものだ”と空想して、自らの命を絶ってしまう。自殺した人は、現実的な生よりも、空想的な死に希望を感じた、ということだけがわかります」

 自らの意思で旅立った人の目には、なぜ死が「よいもの」として映ったのか。そのとき、彼ら、彼女らの頭の中では、何が起きていたのだろうか。

女性の自殺者が急増

 自殺する人が相次いでいるのは、芸能界だけに限った話ではない。警察庁の速報値によると、今年8月に全国で自殺した人は1849人で、前年同月に比べて246人(15.3%)も増加している。考えられる要因の1つが、新型コロナウイルスによる経済状況の悪化だ。脳科学者の杉浦理砂さんが指摘する。

「昔から、自殺率と失業率は密接に関連するといわれています。現に、今年4〜6月期の国内総生産(GDP)は前期比で28.1%減となり、統計開始以来最悪の落ち込みです。特に、ひとりで生活している人の収入が途絶え、社会とのつながりが失われて孤立して、自殺にいたったのではないかと考えられます」

 事実、今年2月に2.4%だった完全失業率は、8月に3.0%まで上昇した。しかし、経済的困窮で人が自殺するまでにはタイムラグがあるという。精神科医の樺沢紫苑さんが解説する。

「人間にはもともと、ある程度のストレスに耐える力があります。失業などの大きなストレスが生じたからといって、すぐ自殺を決意するわけではなく、3か月ほどは耐えようとします。8月に自殺者が増えたのも、4~5月あたりがコロナ禍のストレスのピークだったからでしょう。逆に言えば、8月に失業率が増えたことで、3か月後の11月以降、さらに自殺者が増えることが心配です」

 失業率のほか、高齢者率や第一次産業への従事者率が上がるほど、自殺率は上がるという。しかし、自殺の原因はそれだけではないと、大分大学医学部精神神経医学講座教授の寺尾岳さんが指摘する。

「同じ状況下であっても、毎日を精一杯生き抜いている人は大勢います。つまり、自殺に影響する要因は単純ではなく、さまざまな要因が複雑に絡まった結果なのです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

Mrs. GREEN APPLEのギター・若井滉斗とNiziUのNINAが熱愛関係であることが報じられた(Xより/時事通信フォト)
《ミセス事務所がグラドルとの二股を否定》NiziU・NINAがミセス・若井の高級マンションへ“足取り軽く”消えた夜の一部始終、各社取材班が集結した裏に「関係者らのNINAへの心配」
NEWSポストセブン
山本由伸(右)の隣を歩く"新恋人”のNiki(TikTokより)
《チラ映り》ドジャース・山本由伸は“大親友”の元カレ…Niki「実直な男性に惹かれるように」直近で起きていた恋愛観の変化【交際継続か】
NEWSポストセブン
保護者責任遺棄の疑いで北島遥生容疑者(23)と内縁の妻・エリカ容疑者(22)ら夫妻が逮捕された(Instagramより)
《市営住宅で0歳児らを7時間置き去り》「『お前のせいだろ!』と男の人の怒号が…」“首タトゥー男”北島遥生容疑者と妻・エリカ容疑者が住んでいた“恐怖の部屋”、住民が通報
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
《交際説のモデル・Nikiと歩く“地元の金髪センパイ”の正体》山本由伸「31億円豪邸」購入のサポートも…“470億円契約の男”を管理する「幼馴染マネージャー」とは
NEWSポストセブン
学業との両立も重んじている秋篠宮家の長男・悠仁さま(学生提供)
「おすすめは美しい羽のリュウキュウハグロトンボです」悠仁さま、筑波大学学園祭で目撃された「ポストカード手売り姿」
NEWSポストセブン
モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン