また、別の女性Bさん(愛知県在住)は結婚しているが、夫の了承を得て精子提供を受けたと告白する。
「妊活中に夫が無精子症だとわかりました。AIDも検討しましたが、私の場合は2年待ちだと言われて。そのときすでに39才だったので、自然妊娠の可能性が高いうちにと思い、ネットで精子提供者を探しました。学歴、ルックス、血液型など、できるだけ夫に似ている人を選んだつもりです。子供はまだ1才ですが、夫は自分と同じ遺伝子を持つ実子のようにかわいがっています」
女性が“精子の条件”を選べるのもメリットだという。年齢や血液型、最終学歴に留まらず、身長や体形、スポーツ経験の有無、さらにはまぶたが二重かどうかなど、精子提供者の中には詳細なプロフィールを明かしている人も少なくない。なかには、有名タレントやスポーツ選手に似ていると自称する人もいる。
実際、わが子に「優秀な遺伝子を」という意識で精子提供を受ける女性もいる。都内在住のCさんは、まだ20代半ばだが、SNSで提供者を吟味していると真剣な眼差しで語る。
「普通の恋愛結婚だと、優秀な遺伝子を選ぶことは難しいですよね。相手が自分のことを好きになってくれるとは限りませんから。でも、SNSや精子提供のマッチングサイトなら、多くの男性を見比べて遺伝子を自由に選べる。私はイタリア人で身長180cm以上で、IQも130以上のイケメンの子供を産みたいんです」
前述のように、日本産科婦人科学会では独身女性への精子提供を禁じているが、罰則がなく、あくまで「見解」であるため、SNSなどでは無法地帯となっている。同学会は営利目的での提供も同様に禁止しているが、「提供者は“手数料”として、だいたい1万円から2万円ぐらいの料金を取っていると聞いています」(前出・医療関係者)というから、女性側としては、精子を買っているという感覚にもなる。
※女性セブン2020年10月29日号