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2020.10.17 16:00  NEWSポストセブン

BTSの中国炎上騒動は「大山鳴動」、人気を証明しただけ

パフォーマンスを見せるBTS(写真/GettyImages)

 とまあ、こんなふうに大袈裟に報じているメディアもあるようだが、「米韓両国の苦難の歴史、犠牲を記憶したい」と言ったぐらいで本当にそこまで炎上するものだろうか? 中国SNSのコメントを読んでみると、実際のところ真面目に怒っているのは極少数で、「こんな話でニュースになるなんてBTSってすごい(笑)」「え?サムスンはスマホの販売中止?ちょっぱやすぎるやろ」と言った、ごくごく中立的なコメントの書き込みの方が目立つ。

 確かに、中国の炎上事件は有名だ。昨年には米NBA(全米プロバスケットボール協会)の幹部が「香港とともに立ち上がろう」とツイッターに投稿したことで、中国でNBAボイコットの動きが広がるなど、SNSでのちょっとした書き込みが炎上につながることはある。だが、それは香港問題やウイグル問題、あるいは領土問題といった「炎上するテーマ」が決まっているもので、今回のBTSの発言は燃料不足といった印象だ。

 もちろん、サムスンやヒュンダイはリスク回避のために広告を取りやめたのだろうが、炎上にビビったというよりも、予防的措置と言うべきだろう。中国外交部報道官が言及したことも確かに驚いたが、そもそも韓国通信社・聯合ニュースの記者が「BTSの騒動についてコメントを!」と質問したから返答しただけであって、むしろ韓国メディアの方が炎上させようと頑張っているのではないかとすら勘ぐってしまう。

「大山鳴動して鼠一匹」のような今回の“炎上”だが、改めて印象づけられたのはその人気だ。中国では、2016年のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備問題に対する報復として、俗にいう「韓流制限令」が実施され、BTSを含む韓国歌手やタレントの露出は大きく減少した。BTSも未だに中国でのコンサートの許可が下りないという。そうした状況であっても、BTS関連のニュースは何かと注目され話題になり、時にはプチ“炎上”騒ぎにまで発展する。中国共産党の制限令も乗り越える、中国人民の韓流愛、BTS愛を改めて感じさせる出来事となった。

【高口康太】
ジャーナリスト。翻訳家。千葉大学人文社会科学研究科(博士課程)単位取得退学。中国の政治、社会、文化など幅広い分野で取材を行う。独自の切り口から中国・新興国を論じるニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。著書に『現代中国経営者列伝』(星海社新書)など。

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