国際情報

BTSの中国炎上騒動は「大山鳴動」、人気を証明しただけ

朝鮮戦争に言及したことで波紋を呼んだBTS(写真/GettyImages)

 今年、米ビルボードチャートで韓国人アーティストとして初の1位を獲得した韓国アイドルグループ「BTS(防弾少年団)」の、朝鮮戦争に関する発言が中国で波紋を広げている。中国国民による激しい反発が起き、BTS関連製品の不買運動や一部の中国のBTSファンがSNSなどを通じて“謝罪”する騒ぎにまで発展しているが、中国の経済、社会に詳しいジャーナリストの高口康太さんは、「むしろBTS人気が印象づけられた」と指摘する。

 * * *
 BTSは2013年にデビューした7人組の男性アイドルグループ。米ビルボードのトップ・ソーシャル・アーティスト賞を2017年から4年連続で受賞するなど世界的な人気を誇る。所属事務所のビッグヒットエンターテイメントは10月15日、韓国取引所に新規株式公開(IPO)すると、時価総額11兆ウォン(約1兆円)を記録するなど、まさに今勢いに乗りまくっているアーティストだ。

 そのBTSが中国で“炎上”事件を引き起こしたという。事の発端は、10月7日に行われた「”2020 Van Fleet Award」授賞式でのBTSメンバーの発言。米民間非営利団体(NPO)の「Korea Society」は、米韓関係の発展に寄与したとしてBTSにVan Fleet賞を贈った。その際、メンバーのRMが「朝鮮戦争70周年に受賞したことに特別な意味を感じる。米韓両国が共に経験した苦難の歴史、多くの男女の犠牲を永遠に記憶しなければならない」と発言し問題視された。朝鮮戦争には中国人民志願軍も参戦した。135万人もの中国兵が戦い、11万人が命を落としたとされる。「米韓両国の犠牲だけを記念して、中国人の犠牲を無視するとはどういうつもりか」と、中国のネットユーザーから怒りの声が上がったのだ。

 中国SNS大手の微博(ウェイボー)では、「BTS」がホットワードランキング1位になったほか、中国外交部の定例記者会見でもこの件について質問があり、趙堅立報道官が「関連報道及び中国ネットユーザーの反応には注意している。お伝えしたいのは歴史を鑑とし、未来に向かって、平和を尊び友好を促進することこそ我々の共同の願いであり、努力に値するべきことだ」と言及する騒ぎとなった。外交部報道官がコメントする、つまりは国際問題にまで発展したわけで、まさに一大事。この騒ぎに韓国の電機大手サムスン電子は、新型スマートフォンの「ギャラクシーS20+ 5G BTSエディション」の中国ネットショップでの販売を中止、韓国大手自動車メーカーの現代(ヒュンダイ)自動車もBTSを起用した広告を一時取り下げるなどの対応に追われた……。

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
阿部なつき(C)Go Nagai/Dynamic Planning‐DMM
“令和の峰不二子”こと9頭身グラドル・阿部なつき「リアル・キューティーハニー」に挑戦の心境語る 「明るくて素直でポジティブなところと、お尻が小さめなところが似てるかも」
週刊ポスト
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン