開港から10年を迎えた茨城空港(時事通信フォト)
茨城県民の多くは、きっとこの方向で控え目に喜びを分かち合っているに違いありません。「やっと情けない位置から抜け出せた」と過去を恥じたり、「海もない栃木なんてもともと敵じゃない」と調子に乗ったりするより、ビリから脱出できたことに首をかしげているほうが喜びがさらに増幅するはず。それが“勝者の特権”です。
いっぽう、新しくビリになった栃木県としては、この結果は晴天の霹靂だったことでしょう。栃木県の福田富一知事は「25位を目指していたので思わず、『えっ』と大きな声をあげてしまった。さらなる工夫や改善を図り、選ばれる栃木を目指す」と語りました。
栃木県民は、今回の結果をどう受け止めているのか。足利市出身で6年前から「とちぎ未来大使」を務める三遊亭歌橘さんに、率直な気持ちと最下位脱出への展望を聞きました。
「47位になっても、落ち込んでいる栃木県民はいないでしょうね。みんなが『ウチの街のせいじゃない』と思っている。なにせ栃木県は超個性派の街の集合体で、他県の人から出身を聞かれても誰も『栃木です』とは答えません。『足利です!』『宇都宮です!』『日光です!』などと街の名前を言います。そんなまとまりのない栃木県が、一丸となって県全体を盛り上げている茨城県に負けたのも、まあ当然とも言えますね」
郷土を愛し、県民性をよく知るが故の大胆な分析です。ビリ脱出のためには、宇都宮の餃子なり佐野のラーメンなり日光の東照宮や華厳の滝なり、それぞれの魅力的なコンテンツをうまく結びつけることが大事だとも。
「栃木県は多くの街に、いやすべての街に、どこに出しても負けない魅力的な“売り”があります。今回の結果が県民意識の高まりに結びついて、栃木全体の魅力が束になってかかれば、余裕で1位を取れるでしょう。全国のみなさま、栃木県の逆襲にご期待ください」
やたらとスケールが大きい自信に、栃木県の底力と可能性を見ました。歌橘師匠も県民のみなさまも、最下位脱出の暁には、新しく最下位になった都道府県の関係者に「気持ちはわかります。あまり気にせず一喜一憂しないでください」と言いまくっていただけたらと存じます。その日を楽しみに、今の屈辱に耐えてください。