どこまで明るければ交通事故を減らせるのか
でも、不思議ですよね。なぜ、ヘッドライトを点灯するだけで事故が減るのでしょうか。実際に、夕方にヘッドライトをONにしても、ドライバーにとっては見え方にそれほど大きな違いはありません。
義務化された「オートライト」点灯の条件は、1000ルクス。一般的には野球のナイター開催時のスタジアム外野のエリアの明るさが約1000ルクスと言われています。つまり、けっこう明るいのです。
ところが、曇天でも昼間の明るさは10万ルクス。そのため「まだ見える」けれど、実際は昼間よりも夕方の明るさは相当に落ちています。そして、その見えづらい状況はドライバーよりも、外を歩く人のほうが大きく影響されます。
夕方になると、「クルマから道や歩行者が見えづらい」というよりも、「走ってくるクルマが見えづらい」状況が起こりやすくなります。その結果、「クルマが来るのに気づかずに道に飛び出てしまう」といった事故の可能性が高まるのです。車両vs車両でも同じことが言えます。夕方になると、他車両の存在に気づきにくくなるため、接触事故などの可能性が高まるのです。
たとえばトンネルなどで無灯火の車両がいて、その存在に気づかずにびっくりした経験のある人は多いでしょう。つまり、ヘッドライトは「ここにクルマがいますよ!」というアピールになります。
ちなみに、ルマン24時間レースのような、真っ暗な夜も走るレースでは、自車に大きなヘッドライトを装着したほうが他の車両との接触事故が減ると言われています。そのため特に強豪チームほど、強力なヘッドライトを装備するようになっています。
そういう意味でも、夕方に交通事故に遭いたくなければ、ヘッドライトを点灯するのが最も効果的になります。当然、ポジションランプの小さな光よりも、フルの点灯のほうが効果は大。中途半端にポジションライトをつけるくらいなら、最初から普通にヘッドライトを点灯させましょう。
日中にライトを点灯させるデイタイムランニングライトも、同じように「自分の存在を他にアピールする」のが狙いです。そのため、オートバイでは日本でもすでに日中のライトオンが義務化されています。これも交通事故を減らすのが目的です。