新型コロナウイルス対策を実施する事業者を対象に、東京都が発行する「感染防止徹底宣言」ステッカー(時事通信フォト)
グルメサイトの評価は金で買える。そのグルメサイト自体がそれをしているかどうかは知らないが、口コミや評価を売っているWEB系のプロダクションは存在する。私は以前、そういった会社(といってもマンションの一室でやっているような規模)を取材したことがあるが散々だった。そこは大手ネット通販サイトの評価も金次第で工作している。各社取り締まりはしているがいたちごっこ、そのプロダクションの社長は「褒める分には法的に問題ない」とうそぶいた。このコロナ禍、クラウドソーシングサイトを通せば小金欲しさに工作員はいくらでも集まる。おそらくその類の工作を商売にしている会社が「高評価の口コミ」の売り込みに来たのだろう。
ネットに書くぞって人もいるから、言えない
「コロナだからどうしても席は減らすしかありません。お待ちいただくかお帰りいただくしかない。常連でもそうしてもらいます。マスクだってしてない人は入れたくない。そういう人を入れたら他のお客さまからも苦情が出る、何をしても書かれてしまいそうです」
前者はともかく、後者について店のサイトを見る限り書かれてはいないようだが、オーナーはその点もピリピリしている。東京都の「感染拡大防止徹底宣言」ポスターも貼ってある。
「マスクしてないお客さんも来ますよ。これ言うとまずいのかもしれませんが、席が空いていれば入れてます。揉めるの嫌ですから」
オーナーは正直に打ち明けてくれた。建前ではいけないことかもしれないが、「マスクをしていないから入るな」とは言いづらいのが現実だろう。他の店で私が見た限りでも、そんな客は飲食店に限らずちらほら見かけたが、大手チェーンなどはさすがに厳しいものの、個人店はどこもそれを咎める様子はなかった。
「店でコロナが発生してもどうでもいいと思ってるんでしょうね、ああいう人は。人の勝手って言われればそれまでですけど、こっちからしても迷惑です」
国や自治体の指示を守る店側からすれば招かれざる客だが、このコロナ禍でノーマスク主義のアウトロー気質の連中など何をしてくるかわからないと思うのも無理もないし、触らぬ「神」という対応を責めるのも酷な話だ。客商売だから我慢しろもまた理不尽だろう。
「ネットに書くぞって人もいるじゃないですか、言えないですよ」