スマートフォンで確定申告できる便利さも給付金不正取得へのハードルを下げたと言われる。2019年、スマホ確定申告を体験した「ふなっしー」(時事通信フォト)
そんな「副業」繋がりで知り合った「ライフスタイルコンサルタント」を名乗るX氏が、中間さんに「給付金」の話を持ちかけてきたのは今年5月頃だった。中間さんがやっている副業も立派な「フリーランス」なのだ、そう言われたという。
「Xさんには、以前情報商材ビジネスでお世話になりました。残念ながら儲けにはならなかったけど、今もいろんな相談に乗ってもらう人。Xさんは、僕がいろんなビジネスやってるのを知ってるし、あなたはフリーランスなんだから給付金受け取れる、もったいないよと言われました」
中間さんはすぐX氏に会い、書類を受け取った。それは確定申告の申請に必要なもので、その場でX氏が指示する通りに欄を埋めていったという。
「去年の収入がいくらで……みたいな。まあ、これは参考までに書くだけだからということで、何百万とか書いたような気がします。実際、去年の春頃は転売ビジネスをやっていて、うまくいけば何十万かは儲かっていたはずなんですよね。商品が売れずに、初期投資費用が消えただけでしたけど。今年はそのチャンスもなかったわけで、その分のマイナスってことで。書類は、X氏がいう東京の会計事務所みたいなところに送りました」(中間さん)
それから1ヶ月もしないうちに、中間さんの口座に現金100万円が振り込まれたが、同時に、X氏から「請求書」も届いていた。
「紹介料として30万円、会計事務所への確定申告費用に30万、計60万円です。高いとは思いましたが、40万は手に入るし、それでいいと思いました」
コロナの影響で仕事も収入も減っていた中間さん、久々に手にした高額の現金は、それまで行くにいけなかった外食や飲酒代、そして2ヶ月分溜まっていた家賃を支払えば、半分が消えた。残金は「貯蓄」とし、コロナを理由に仕事がないとふて腐れてばかりはいられない、そろそろ本格的に働きに出なければ、そう思っていた矢先に、給付金詐欺に関する報道をネットで見たのである。
「X氏に電話しても、書類を書いたのはあなただし、嘘をつけなんて一言も言っていないと。じゃあ、お金を返してというと、それはダメだって。会計事務所も、返金は無理の一点張り。ハメられた、って感じですよね」