シティコミューターとは違った乗り味
では、ドライブの様子を交えながら細部について見ていこう。東京出発後、一般道と高速道路を利用しつつ三国山脈のふもとへと向かう。試乗車はターボエンジンを搭載していたため、高速道路のクルーズは前橋以北の登り急勾配区間も含めて楽ちん。見た目的はあまり空力が良いようには感じられないが、後方の空気の乱流は結構よく制御されているようで、直進性は良好だった。
ダイハツ「タフト」のダッシュボードデザイン。ハスラーに比べるとシックな印象
ホールド性の高いフロントシート(ダイハツ・タフト)
また、ワダチやアンジュレーション(路面のうねり)がきついところでのフラット感も、図抜けて良好だったミラトコットやホンダ「N-BOX」ほどではないものの、筆者が過去に乗ったあまたの軽自動車の中でも相当上位であった。
水上を過ぎ、三国山脈の谷間にある温泉地、湯檜曽から方面へ向かう。ここから日光までは周遊を含め140kmほどワインディングロード区間を走った。
ここで印象的だったのが、タフトが意外なくらいSUVっぽいフィールを持っていることだった。クルマの基本部分はスーパーハイトワゴンのタントと共通であるため、格好はSUVだが走りは乗用車というキャラかと思いきや、荒れた道路の深いうねりを通過するときなど、軽自動車なのにサスペンションの上下ストローク感が滑らかに出る。
最低地上高190mmは少々のマッドコンディションを走るには十分(ダイハツ・タフト)
もちろんジムニーのように強固なラダーフレームボディを持っているわけではなく、サスペンションも前ストラット、後トーションビームという乗用車然としたものなので絶対的な踏破能力は高くはないのだろうが、テイスト的にはクロスオーバーSUVというより、クロスカントリー4×4に近いものがあった。オーナーは“シティコミューターとちょっと違うクルマに乗っているな”と感じさせられることだろう。
そういうフィールの代償として、山岳路での敏捷性はあまり高くない。タイヤサイズは165/65R15と、軽自動車としては大径のものを履いているためか、ステアリングの感触がダイレクトでなく、少々ムニュムニュしている。
165mmのタイヤ幅は840kgという車両重量に対しては十分で、滑って危ないなどということはないが、キュンキュンとリズミカルにS字をクリアするようなドライビングをする気にはならない。だが、これもまたクロスカントリー風味と思うと、あまり弱点と感じないのもまた確かだった。
ダイハツ「タフト」のサイドビュー