「自然体」がコンセプトのマツダ新型SUV「MX-30」と開発主査の竹内都美子さん
――マツダ初の女性主査としてMX-30の開発を統括し、ストレスもかなりあったと思いますが、どんな息抜きを?
竹内:休日は、よくドライブに出かけますね。私はバイクにも乗ります(ホンダの「ホーネット」)し、冬場はスキーもします。思いっきり働いて思いっきり休む。休む時はバシッと仕事のスイッチを切ってしまうタイプです。
クルマに関して言えば、私とMX-30のチーフデザイナーは初代ロードスター(1989年デビュー)のオーナーです。マツダが31年前にこのクルマを出した頃は、男女問わず、それまでスポーツカーに見向きもしなかった方、ピュアスポーツカーは扱う自信がないといった方に、1600ccのライトウエイトスポーツを提供して多くの支持を得ました。
そういう意味では開発に携わったMX-30も、走りのイメージが強いマツダブランドの、いわば敷居をまたいでいただく一歩になったらと思っています。
――普段は広島の本社に勤務している竹内さんですが、このコロナ禍で人生観や仕事観は変わりましたか?
竹内:私自身はテレワークを経験する中で、普段、なかなか時間が割けなかった家事も一生懸命やって、家と仕事のバランス、心と体のバランスを整えることができています。
心がワクワクする高揚感や興奮ではなく、心が穏やかになる方向に訴えかける洋服や家具があるように、そういうクルマがあってもいいんじゃないかなと思っていたMX-30開発初期の頃の思いと、今のウィズコロナ時代に求められる心の時代は、奇しくも一致しているのかもしれません。
マツダの商品本部で初の女性主査となった竹内都美子さん
【プロフィール】
竹内都美子(たけうち・とみこ)/1974年広島県出身。大学卒業後、1997年マツダ入社、電子技術開発部を経て1999年より開発・評価ドライバーとして評価専門チームに異動、マツダ車の総合商品性評価を担当する。2009年車両開発本部、2011年同本部にて新型デミオの開発などに携わる。2015年より商品本部に異動、MX-30の商品責任者(主査)に抜擢され、現在に至る。
●聞き手/河野圭祐(ジャーナリスト)、撮影/山崎力夫