国際情報

現実味を帯びてきた「2024年、トランプ大統領復帰」シナリオ

共和党はもはや「トランプ党」になった(AFP=時事)

共和党はもはや「トランプ党」になった(AFP=時事)

 いまだ敗北を認めないトランプ大統領の首に、誰も鈴をつけられない。メラニア夫人や側近である娘婿のクシュナー首席秘書官らが敗北宣言するよう説得していると報じられているが、本人はまだまだ戦闘モードである。ニューヨーク在住ジャーナリスト・佐藤則男氏は、この状況はなかなか打開されないと予測する。

 * * *
 アメリカのコロナ禍は完全に第2波に突入している。連日のように過去最多の感染者を出し、中西部のテキサス州などは危機的な状況である。トランプ大統領は、自分に投票した支持者たちが次々と感染していても、沈黙を守るだけ。Twitterでも演説でも、口をついて出るのは「選挙は盗まれた」「民主党が不正をした」という壊れたレコードのような繰り言ばかりなのである。

 いったいアメリカは本当に民主主義国家なのだろうか。国務省の外交官たちは、自分たちの任地である途上国で民主主義と公正な選挙を根付かせようと奮闘している。そうした国では、「お前の国こそどうなんだ」と笑われて仕事にならないと伝えられる。そして、選挙結果にかかわらず、いま大統領であるトランプ氏は、コロナ問題に背を向けることは許されないはずなのに何もしない。いったいアメリカに大統領はいるのだろうか。

 トランプ氏の言動には、共和党内からも異論が出ている。2つの州の共和党知事は、トランプ政権が政権移行を妨害していることを批判した。しかし、共和党全体でみると、7100万票を獲得したトランプ氏の法的根拠のない見えざる力に縛られ、建設的な議論も、まともな政策論も展開できずにいる。政権内で黒幕のような存在になっているポンペイオ国務長官は公然と「トランプ政権は2期目に入る」と宣言し、むしろトランプ氏の暴挙を後押ししようとしている。閣僚の暴走さえ、共和党はもはや止める力がない。

 慣例に従えば、大統領選挙で勝利したバイデン氏は、「President Elect」と呼ばれることになっている。しかし、バイデン氏をそう呼ぶ共和党議員はほぼ皆無だ。選挙結果がひっくり返ると信じる者はほとんどいないはずなのに、トランプ氏の強大な力を恐れて口をつぐんでいるのである。たとえ選挙結果が確定しても、トランプ氏は「この選挙は不正だ。大統領の職を盗まれた」と言い続けるだろう。トランプ氏の周辺を取材し続けている若いフリージャーナリストは、「トランプ氏はすでに2024年の大統領選挙で返り咲くシナリオを練り始めた。誰も自分に逆らえない共和党を見て、4年間騒ぎ続ければ再びホワイトハウスに戻れると感じているようだ」と言う。

関連記事

トピックス

「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
関屋警部補を演じた原田大二郎(撮影/中庭愉生)
【放送50年特別インタビュー】原田大二郎が振り返る『Gメン\'75』の思い出、今だから話せる「関屋警部補が殉職した理由」 降板後も続いた丹波哲郎との良好な関係
週刊ポスト
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
東京都議選の開票を見守る自民党の木原誠二選対委員長(左)と井上信治・東京都連会長=22日夜、東京・永田町の同党本部(時事通信フォト)
《都議選で歴史的大敗》今や自民党は保守じゃない、参院選に向けてウリは2万円給付だけか 支持層から「時代について行けない集団」「消費期限切れ」「金払って党員になっても意味ない」の声
NEWSポストセブン
アナウンサーのオンカジ疑惑を早めに公表したフジテレビ(イメージ)
《オンカジの”儲からない”実態》逮捕されたフジテレビPは2400万円のマイナス、280億円賭けた「バカラのカリスマ」も数千万円のマイナス 勝てない前提のイカサマか
NEWSポストセブン
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン