前述の『九条の大罪』の第2話には、警察の職務質問を受けた男が、弁護士に助けられるシーンがある。主人公の弁護士・九条は「(職務質問で)長時間のとめおきは違法です」と警察を追い払う。そもそも実際にも、令状なく違法に収集された証拠品については、証拠としては扱われないという。高橋弁護士は下記のように続ける。
「適正な手続きを踏まずに集めた証拠がないかをチェックするのも弁護人の重要な役割です。法に則った手続きが行われているか、きちんと把握することは冤罪防止にも繋がります」
憲法に保障された刑事被告人の権利は守られるべきだが、弁護士が罪を帳消しにしてくれるわけではない。しかしながら、人を傷つけるつもりがなくとも、交通事故を起こしてしまう場合もあれば、無実であるにもかかわらず、加害者であるとの疑いをかけられることもあるかもしれない。図らずもそんな立場になった時には、誰しもが弁護士の存在を心強く思うことだろう。