ライフ

新型コロナウイルスの死亡率減少 3剤併用「RDT療法」とは

RDT療法について日本赤十字社医療センターの出雲雄大部長に話を聞く(イラスト/いかわ やすとし)

RDT療法について日本赤十字社医療センターの出雲雄大部長に話を聞く(イラスト/いかわ やすとし)

 新型コロナウイルス感染症の治療薬の治験が続いているが、決定的な薬は登場していない。そんな状況の中、中等症から重症の患者に3つの薬剤を併用して投与することで、治療効果を大幅に改善するRDT療法が導入されている。

 日本赤十字社医療センター(東京都渋谷区)呼吸器内科の出雲雄大部長に話を聞いた。

「新型コロナは症状が急激に悪化することがあります。朝、普通にしていたのが、夕方には血中酸素飽和度が低下して酸素吸入が必要になることも。トランプ大統領も一時、血中酸素飽和度が低下し、酸素吸入が行なわれました。その際、治療薬として抗ウイルス薬のレムデシビルとデキサメタゾン(ステロイド系抗炎症薬)などを投与されたと報道されました。私たちは、これら2つの薬剤にトシリズマブ(アクテムラ)を加えた3剤を併用するRDT療法を導入したところ、導入前と比べて死亡率が低下しました」

 新型コロナで重症になるのはウイルスによる肺炎だけでなく、過度な炎症やサイトカインストーム、血栓などが発症するせいだ。それらの治療には複数の薬剤が必要となる。

 RDT療法では抗ウイルス薬のレムデシビルでウイルスの増殖を抑え、デキサメタゾンで炎症を抑える。さらにサイトカインの抑制のためトシリズマブの3剤を一度に投与する。新型コロナで亡くなった患者を解剖した結果、肺の細胞からIL-6(サイトカインの一種)が広範囲で見つかった。そこでIL-6を抑制するトシリズマブを投与することで、抗サイトカインと抗血栓作用を担う。

 このRDT療法は必要と判断された時点から連続投与する。レムデシビルが5日間(人工呼吸管理の患者は10日)、デキサメタゾンは10日(それまでに退院の場合、そこで終了)、トシリズマブは2日間だ。ともあれ、導入はレムデシビルが保険承認された6月以降のことで、トシリズマブについては適用外使用のため院内の倫理委員会の承認と本人の同意を得て使用可能となった。

関連記事

トピックス

大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン