小池都知事はどう対応するのか(時事通信フォト)
だが豊洲市場がある江東区保健所の担当者のニュアンスは異なる。
「豊洲市場は聞き取りをしても感染経路がはっきりせず、追跡できていません。保健所としては、『対策が不十分ではないか』、『市場全体で一丸となってやっていただかないといけない』と都に強く伝え、仲卸業者に自主検査を勧めました」
豊洲側のいう自主検査は、保健所の提案だというのだ。
そもそも病院や学校で同時期に100人以上が感染したら、すぐに閉鎖し、感染防止に努めるはずだ。豊洲市場はなぜクラスターを認めないのか。豊洲市場内の飲食店関係者が声を潜める。
「市場を閉めたら食の流通がストップして、各所に食材が届かず、漁師の稼ぎもなくなる。仲卸業者はギリギリまで市場機能を止めたくないはずだ」
一部の市場関係者からは、感染拡大を口外しないよう箝口令が敷かれたという証言も出ている。前出・澤氏は「都の忖度」があると指摘する。
「都庁職員として築地移転にかかわった経験から、都より仲卸業者の力が強いことは承知しています。都が仲卸業者に忖度し、この件にフタをしようとする構図があるのだろう」
豊洲では、11月2日から観光客向けのマグロ競り見学を再開した。それが感染を広げたという声も出ており、徹底した原因究明をしない限り、信用回復は望めないだろう。
※週刊ポスト2020年12月11日号
豊洲市場へ見学に訪れる人たち(時事通信フォト)