他方で外資系ホテルならではの難しさもある。会員か非会員かで手続きが異なることや、会員の中にも上級会員など種別があり、対応が異なるからだ。
印象的だったのは、ロビーにずらりと並ぶ大振りのソファにチェックイン待ちの人が大勢座っている光景だ。見渡せる範囲で数えてみても16台+オットマン(足乗せ用のソファ)2台。その他にも各所にソファが置かれている。チェックインの列に並ぶのはお父さんなど代表者1名で、その他同行者はソファでくつろいだり館内の見学などをしている。
ホテル関係者は、「すぐにウェイティングの時間を短縮させることは難しいかもしれないが、待ち時間を短く感じられよう、また少しでもストレス軽減できるよう何かできないか試行錯誤している」と話す。だが、時間短縮を目指すあまり、お客様と話せる時間が短くなってしまい、おもてなしの心やサービスとの間で忸怩たる思いもあるという。
ニューノーマル時代にフィットした宿泊特化型ホテル
一方、宿泊特化タイプのホテルはどうであろうか。10月8日に開業した「プリンス スマート イン恵比寿」(東京都渋谷区)は、ICTやAI技術を導入しニューノーマル社会の新たなホテルを目指している。
ホテル名の通りスマートフォンのアプリなどを活用、予約にはじまりスマホキーに至るまでシームレスなサービスが特徴的であり、手続きには多少の慣れは必要だろうがチェックイン時もスタッフと対面せずチェックイン機で行える。
もちろんコロナ以前からのプロジェクトにより誕生したホテルであるが、結果としてコロナ禍とニューノーマルという時世にフィットしたホテルとなった。プリンス スマート インは2020年冬には熱海に、2021年夏頃には京都、2022年には沖縄へと全国へ展開していくという。
宿泊者一人ずつ紙袋に入ったアメニティが提供される「プリンス スマート イン恵比寿」
また、同ホテルは客室には用意されていないアメニティの提供方法があるのも特徴的だ。宿泊特化型ホテルなどでは、通常フロント横あたりのワゴンにどさっと入ったアメニティバーをよく見かけるが、プリンス スマート イン恵比寿では、1人分ずつのアメニティが入ったオシャレな紙袋がディスプレイされ、一見すると有料にも思える特別感を見事に演出している。
袋には丸いカラフルなシールが貼られており、色で男女それぞれ見分けられるので分かりやすい。袋単位の提供なので多く持って行かれないだろうし、余分なアメニティに触れないから感染予防という点でも効果があるだろう。ITなど最新技術を駆使して省人力化を図るホテルだけに、かえって温もりが伝わってきた。