アトランタにも熱烈なトランパーは少なくない(AFP=時事)
アトランタという街は混沌としている。前述のようにマイノリティーや若者の流入で、ますます複雑な政治模様を描く。筆者はかつてCNNの仕事でアトランタにいたことがある。あるとき夕食を摂る時間がなく、夜中に郊外のレストランに行った。日付も変わって食事を終え、タクシーを拾おうと幹線道路沿いに出たが、1台も走っていない。途方に暮れていると、黒人の運転する車が停まり、「乗りなさい。どこまで行くのか?」と助けてくれた。乗せてもらってから話してわかったことだが、偶然にも筆者が宿泊していたホテルのガードマンだった。「なぜ乗せてくれたのか」と尋ねると、「人が無残に殺された姿を見たくないのです」と笑顔で答えた。そういう街だと改めて思い知った出来事だった。車を降りるとき、お金を渡そうとしたが、彼は「当然のことをしただけです」と笑って受け取らなかった。
アトランタは、都会であり、田舎であり、アメリカの縮図でもある。青く燃え上がるのか、赤く燃え上がるのか、いずれにしても熱い冬になることは間違いない。