ビジネス

クラウン SUV化でアルファード的「超高級車」に変貌も

ド派手な「若返り路線」が裏目に

 旧型に相当する14世代でトヨタはユーザー層若返りの賭けに出た。「とにかく目立つようにしろ」という豊田章男社長の号令で、文字通りド派手なフェイスを持つクルマに仕立て、ユーザー層のチェンジを狙ったのだ。しかし、結果論ではあるが、これはうまい手ではなかった。

ド派手な色でも話題になった14代目のクラウン

ド派手な色でも話題になった14代目のクラウン

 筆者は登場翌年の春に14世代モデルで東京と宮城のトヨタ自動車東日本大衡工場の間を途中で寄り道しながら旅したことがある。そのときの印象は作りといい走り味といい、やたらと薄っぺらくなったというもの。ド派手なデザインでガーンと曲がる分かりやすさはあるが、クラウンの持ち味である性能を表に出さないじんわりとした味わいという点では、売れなかったが完成度は高かった13世代より後退した感があった。

 その14世代モデルのセールスだが、最初は馬鹿売れした。モデルチェンジ翌年の2013年の販売台数は8万台を突破。売れたのならめでたしめでたしである。が、モデルライフ後半になって販売が激減。前述のように2017年には21世紀最少記録を塗り替えてしまった。しかも購買層はほとんど若返らなかった。

 そして現行の15世代。トヨタの新しいクルマ作りのフレームワークであるTNGAの後輪駆動プラットフォームを新採用したのを機にガラリとコンセプトチェンジするいいチャンスだったのだが、ド派手な若作り路線を踏襲。デザイン上は6ライトと呼ばれる、後ドアのさらに後方にも小窓をつけるというクラウン史上初のスタイリングを取った。

 トヨタは15世代のライバルはベンツ「Eクラス」やBMW「5シリーズ」の対抗馬と息巻いていた。確かにベンツ、BMWなどのドイツプレミアムは現在、顧客の嗜好の変化に振り回されてクルマ作りのバランスを崩しているきらいがあり、今が攻め時であることは確かだ。だが、これも実際に乗ってみると、それら悩めるプレミアムカー相手でも顧客を奪えるほどのパワーはなかった。

「レクサスLS」、「レクサスRX」の第1世代モデル、第2世代「レクサスES」、第2世代「センチュリー」などのデザインを手がけ、現在は名古屋造形大学の客員教授を務める内田邦博氏は言う。

「6ライトは難しい。15世代クラウンのリアドアまわりを見ると、ドアガラスを分けるステーとピラーの方向がバラバラで安定感がない。歴史的に6ライトは別に新しい手法ではなく、いいものも数多くあった。だが、こういうバラバラなデザインは元々シボレーなどアメリカ車の大衆車でやっていたこと。

 トヨタ自身のモデルを紐解いても昔の『コロナ5ドア』の6ライトから少しも進歩していない。もう少し良く考えてデザインすべきだった。セダンであっても今も売れているものは売れているし、いいものはいい。クラウンがダメになったのをセダンのせいにしてはいけない」

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン