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クラウン SUV化でアルファード的「超高級車」に変貌も

「きんつばデザイン」と呼ばれた昭和のクラウン

 クラウンはもともと“日本最適化”が至上命題の高級サルーンで、全幅は1.8mジャストと、全長4.9m級のモデルとしては狭い。

 この全幅は日本で使いやすいサイズというふわっとした説明がなされることが多いが、ビタ1ミリはみ出さないのには明瞭な理由がある。名誉会長の豊田章一郎氏に尋ねたところ、

「実はウチが使っている銀座のある駐車場が全幅1.8mまでと決まっていてね、そこに停められるように3ナンバーになってもそれ以上は広くしないということにしたんだよ」

 と、なるほどクラウンのような歴史を踏んできたモデルならそういうこともあるのだろうと妙に納得させられるような答えが返ってきた。カネにモノを言わせて駐車場の1台あたりのスペースを拡幅させなかったあたり、謙譲が美徳とされていた牧歌的な時代が偲ばれるところだ。

 その1.8m縛りは、高級車にとってはアゲインストで、どうしてもひょろ長く、痩せて見えてしまう。かつてクラウンが5ナンバーボディを基本としていた時も同じような難しさは抱えていた。

 寸法の枠ギリギリにデザインするため、どうしても小手先のデザインでごまかすしかなくなる。昭和時代、トヨタ社内では四角に切り落とした和菓子になぞらえ、「きんつばデザイン」と呼ばれていたという。1.8m縛りもまた、それと似たようなデザイン上の制約となっている。

 それでも、細身なりにスタイリッシュなデザイン、深みのある走り味、乗る人を感心させるような先進性を持たせることができれば、ユーザー層の若返りを実現させる目はあったであろう。結局、それができなかったことがクラウンの死期を早めた。

初代トヨペット・クラウン

初代トヨペット・クラウン

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