ビジネス

クラウン SUV化でアルファード的「超高級車」に変貌も

クラウンSUVは「広大なリムジン」?

 そのクラウンのSUVバージョンがどのようなクルマになるかは不明だが、中日新聞の報道どおり3列シートSUV「ハイランダー」をベースとするのであれば、2.85mというロングホイールベースの背高ボディを生かし、2列シートの広大なリムジンSUVにするのではないかというのが筆者の想像だ。クラウンという名前は残るが、海外にも販路を求めるということなので、全幅1.8mはもはや継承されないだろう。

クラウンSUVのベースになるのではと囁かれている3列シートSUV「ハイランダー」

クラウンSUVのベースになるのではと囁かれている3列シートSUV「ハイランダー」

高級感漂う「ハイランダー」の内装。クラウンSUVのヒントになるか

高級感漂う「ハイランダー」の内装。クラウンSUVのヒントになるか

 問題は大衆車をベースに高級車を作れるかどうかだが、これはさして心配なさそう。

 TNGAアーキテクチャは改設計についてかなりの融通が利くように作られているようで、ハイランダーのプラットフォーム「GA-K」も下は大衆セダンの「カムリ」から上は高級セダンの「レクサスES」まで、幅広く採用実績がある。トヨタの開発力をもってすれば遮音をちょっと頑張り、足回りの可動部品に良いものを使えば、高級SUVに仕立てることはたやすいことだろう。

 課題は中国を除く海外ではほとんど無名のクラウンの名を冠した高級SUVを、新たなトップオブトヨタとしてどう特徴づけるかということにある。

2017年の東京モーターショーで披露した次世代カー「ファイン─コンフォート・ライド」(時事通信フォト)

2017年の東京モーターショーで披露した次世代カー「ファイン─コンフォート・ライド」(時事通信フォト)

 トヨタは元来、クルマを飾るのは得意なメーカーだ。世の中では高級といえばシックと捉えられがちであるが、たとえばアメリカのストレッチリムジンやロールスロイスのようなプレステージクラスでは、悪趣味というくらいきらびやかに内装を飾り立てるのが常。トヨタは三河の企業だが、尾張名古屋に隣接しているからか、そういう飾り立てについては非凡なものを持ち合わせている。

「露骨に出し過ぎるとそれはそれで失敗するかもしれませんが、変に世の中で言われているような趣味の良さに引っ張られると、トヨタDNA的には特徴を失って没個性的になってしまうのではないかと思います。

 おそらくクラウンSUVは確固たる世界戦略の一環で生まれるわけではなく、クラウンの名を消さないために作られ、エクスキューズとして海外販売を標榜しているだけのように思います。ならばいっそ、自分たちの思うようにやってみればいい。

 ミニバンの『アルファード』のように、アジア圏で超高級車扱いされるような日本発のモデルに化ける可能性だって決してゼロではないのですから」(前出のトヨタOB)

 世界の自動車業界が激変の渦中にある中、勝ち組への道を模索するトヨタ。クラウンのSUV化が吉と出るのか凶と出るのか、その行方が興味深い。

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン