バイデン氏は本当に中国に厳しい態度を取れるのか(AFP=時事)

バイデン氏は本当に中国に厳しい態度を取れるのか(AFP=時事)

 いまアメリカが脅威だ盗用だと訴えている中国の凄まじい経済発展は、実はアメリカ企業、政府の強力なバックアップによって実現したものだ。ついでに言うと、光ファイバー事業で技術や現場のオペレーションを提供したのは日本の大手メーカーだった。後日、その企業の担当者と話すと、「このプロジェクトは薄利だが、アメリカの力を頼らなければ中国とは取引できないから」と語り、アメリカ企業に追随した。同じ頃、中国政府は将来有望な若者を大量にアメリカのビジネススクールに通わせ、アメリカ式のビジネスを学ばせるとともに、定期的に大使館にリポートを提出させてアメリカのノウハウを政府のものにしようとしていた。

 その少しあとに、筆者は日本で大手シンクタンクと共同で、中国の知的所有権についてセミナーを開いた。中国企業には知的所有権の発想がないから、後々大変なことになるという内容で、多くの日本企業が参加した。つまり、いま米中間で起きている経済摩擦は、最初からアメリカ企業が中国を枕にして利益を得ようとした結果であり、日本企業はアメリカに同調する以外の道はなかったのである。その後、日本企業が知的所有権について中国企業とトラブルになるケースが増えたが、ここでも日本独自では埒があかないということで、アメリカの弁護士事務所を頼ってアメリカで訴訟を起こす企業が多かった。

 この時のセミナーには、マイクロソフト中国の首脳も出席し、中国の知的所有権侵害、コピーライト侵害がひどい状況であると発表してくれた。その後、ビル・ゲイツ会長は、中国で知的所有権に関して教える学校を各地に作り、啓蒙活動を推進した。この方法は効果をあげたが、それでも今も問題は山積している。

 アメリカ人を震撼させたイスラム過激派のテロを扇動したオサマ・ビンラディンは、アメリカの軍事訓練を受けてテロリストになった。いまアメリカと世界を脅かしている中国の経済や軍事技術もまた、アメリカ(およびそれに協力した日本)が支援して育てたものだ。中国に国際ルールを守らせることは必須だが、その歴史はなかったことにはできない。バイデン政権が引き継ぐ宿題は極めて重い。

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