「ウイルス干渉とは、“1人の人間に対して感染できるウイルスは1種類”という現象です。椅子取りゲームにたとえると、1つの椅子(=1人の人間)に座れるのは、1つのウイルスなのです」(廣津さん)
ウイルス干渉が起きるメカニズムは現代医学でもまだ解明されていない。ただ、冬場の早い段階でインフルエンザが流行った地域では、コロナウイルスが引き起こすウイルス性の風邪が減ったという研究結果がある。
逆もまたしかりだと廣津さんが指摘する。
「新型コロナの流行によって、地球上で他のウイルスに対して干渉が起きていると思われます。そのため、インフルエンザの流行が抑えられているのではないか」
ほとんどの日本人が新型コロナに感染したので、インフルエンザが入り込む余地がなかったという説もある。
遺伝子変異分野の専門家である上久保靖彦さん(京都大学大学院特定教授)の研究によれば、2019年の冬からすでに日本ではインフルエンザ患者が激減していて、その理由は「感染力は強いが、症状は引き起こさない弱毒性の新型コロナがすでに2019年の冬には日本に上陸していて、感染力の弱いインフルエンザを駆逐したから」だという。
つまり、この冬、インフルエンザ患者がほぼゼロであることは、新型コロナの抗体を持つ人が多いことを意味する可能性がある。新型コロナ克服の福音なのかもしれない。
※女性セブン2020年12月24号