オンライン入試最大の問題は「カンニング防止」
来年の私立大入試では、共通テストで合否が決まる入試方式が人気になりそうだ。出願しさえすれば合否がわかるからだ。国立の横浜国立大も教育学部の一部を除き、共通テストの成績だけで合否判定するとしている。コロナ対策としてはベストかもしれない。
文部科学省はコロナ禍の入試対策として、学校推薦型選抜や総合型選抜の試験に、「ICTを活用したオンラインによる個別面接やプレゼンテーション、大学の授業へのオンライン参加とレポートの作成、実技動画の提出」などを挙げている。
大学の授業だけでなく、入試もオンラインで実施するということだ。地元の大学以外を志望校に考えている受験生にとっては、コロナ感染のリスクを軽減できる。そのうえ、経済的にも時間的にもメリットは大きい。
オンラインでの入試は面接試験では可能だろう。高校生が9割以上保持しているスマートフォンを使うこともできる。すでに総合型選抜や学校推薦型選抜で、面接試験をオンラインで実施する大学も出てきている。桜美林大、実践女子大、清泉女子大、東海大などだ。
では、面接試験以外のオンライン入試の可能性はどうだろうか。
すでに2025年の共通テストで、パソコンやタブレットで解答する方式が検討されている。ただ、これは今までと変わらず指定された試験場に受験生が集まり、筆記試験ではなくパソコンやタブレットで解答する試験になる。そうなると、今回中止になった記述式問題の出題も可能で、導入が検討されている「情報」の科目の試験も容易に実施できよう。
しかし、この試験を自宅で受験するのは今のところ無理だろう。試験の公正、公平が担保できないからだ。実施するとしたら、パソコンやタブレットに直接記入するのではなく、パソコンなどで不正がないかチェックしながら、問題を解いてもらう方式になるのではないか。
比較的、公正に行えそうなのは、英語のスピーキングの試験かもしれない。それ以外では論述式試験も考えられよう。試験終了と同時に答案を写メで大学に送るなどの措置を施せば可能かもしれない。それでも試験中、受験生の目線がどこにあるのかも重要になってくる。周囲から正解が提示され、それをカンニングして解答する可能性もあるからだ。