ライフ

正月の悲劇「餅の死亡事故」を防ぐ代用餅はここまで進化した

楽しい団らんを悲劇にしないために(写真はイメージです=時事)

楽しい団らんを悲劇にしないために(写真はイメージです=時事)

 正月に注意したいのが高齢者の「餅による事故」だ。2020年に発表された筑波大学の研究グループによる調査では、1年のうちで、1月1日が食べ物を誤って気管に詰まらせてしまう「誤嚥(ごえん)」による窒息死が最も多いという。原因は餅の可能性が高く、元日だけでも毎年約70人が死亡しているという。コロナ禍で迎える正月、自宅で餅を食べる機会も増えると予想される。安全に餅を楽しむ方法はないものか――。

 東京消防庁によると、正月の餅による窒息事故の9割以上を65歳以上の高齢者が占める。なぜ高齢になると餅を喉に詰まらせやすくなるのか。小田原短期大学食物栄養学科准教授で管理栄養士の平井千里氏が説明する。

「高齢になり筋力が衰えると、喉の筋肉も弱くなります。人間は食べ物を飲み込むときに、筋肉を使って胃に通じる通路を開ける一方、肺への通路を閉じます。筋力が弱まるとこの動きをスムーズにできなくなり、誤嚥を起こしやすくなるのです」

 喉に食べ物が詰まると通常はむせることで吐き出そうとするが、筋力が足りないと詰まったまま窒息するリスクが高まる。また、筋力以外にも原因はあるという。

「高齢になると歯の本数が減り、食べ物をあまり噛まなくなることも事故の原因になります。こういった複合的な要因によって餅の死亡事故が発生するのです。しかし、介護の現場ではご家族の方から『餅を食べさせてあげたい』という言葉をよく耳にします。そのため、餅の代わりとなる食べ物の需要が高いのです」(平井氏)

 近年、需要が高まっているのが「介護食餅」だ。「喉に詰まりにくい」「歯ぐきで噛める」といった安全な代用餅が各社から発売されている。介護食餅の選び方や食べさせ方のポイントはどのようなものか。

「介護食餅を選ぶときは、普段食べている介護食のレベルと合わせることが大切です。介護食には『ユニバーサルフードデザイン』という規格があり、『かたさ』や『粘度』別に分類されています。たとえば、“やわらかいごはん~全がゆ”相当の『歯ぐきでつぶせる』レベルの介護食餅なら『さっくりお餅』(ふくなお)や『やわらか福もち』(キッセイ薬品)という商品があります。米粉で作っているのでそれっぽい味はしますが、『さっくりお餅』は食感が白玉のような感じです」(平井氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
結婚を発表したPerfumeの“あ~ちゃん”こと西脇綾香(時事通信フォト)
「夫婦別姓を日本でも取り入れて」 Perfume・あ〜ちゃん、ポーター創業の“吉田家”入りでファンが思い返した過去発言
NEWSポストセブン
村上宗隆の移籍先はどこになるのか
メジャー移籍表明ヤクルト・村上宗隆、有力候補はメッツ、レッドソックス、マリナーズでも「大穴・ドジャース」の噂が消えない理由
週刊ポスト
(写真右/Getty Images、左・撮影/横田紋子)
高市早苗首相が異例の“買春行為の罰則化の検討”に言及 世界では“買う側”に罰則を科すのが先進国のスタンダード 日本の法律が抱える構造的な矛盾 
女性セブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン