介護の現場でも代用餅は広がっている(写真はイメージです=時事通信フォト)
本物の餅と味や見た目は多少異なるが、「餅のような形にできることが重要だ」と平井氏が続ける。
「人によっては食事をすべてペースト状にしないと食べられない方もいらっしゃいます。そうすると食事の楽しさが奪われる。食事を楽しむには見た目も重要なのです。介護食で高度レベルの『舌でつぶせる』『かまなくてよい』相当の代用餅になると、『粥ゼリーの素 宮源のお粥』(宮源)や『ぱぱのおもゆ』(伊那食品工業)があります。これらはお湯を注いでお粥にするタイプの食品ですが、お餅のような形にできるのです。普通のお粥だと、そういう食べ方はできません」
介護食餅を食べさせるときに注意するポイントとして平井氏はこう付け加える。
「食べ終わるまでは様子をしっかりと見てあげてください。また、慌てて食べさせると頬に食事を溜め込んだまま忘れてベッドに入ってしまう人もいます。そのまま横になると危険なので、ゆっくりと食事をさせるように気を付けましょう」
少しでも正月気分を味わったうえで、事故の悲劇を防げる可能性がある食材というわけだ。高齢化が進む日本で、その需要はさらに広がりそうだ。