ただし対面授業のためにキャンパスへ足を運んだときでも、大学内でオンライン授業を受けねばならないケースも出てくる。そこで、千葉工業大学では、対面の授業が集中してキャンパスに学生が集まりすぎないよう、時間割を組み直している。東京大学でも、1コマの授業を105 分から90 分に短縮して休み時間を長く取り、学生が密集してしまうのを防いでいる。また、学生が構内にとどまった状態でオンライン授業を受けることもあるため、教室にWi-Fiのアクセスポイントを増設、開放するなどの対策をしているという。
これまでは教員側がオンライン授業に不慣れなことから、授業の質が十分ではないことも多かった。同時に学生たちの反応が見えず、理解しているのかどうか分からず不安になった結果、課題が増え、学生の負担が重くなっていた。対面では学生の表情や反応からどのくらい理解されたかがわかるが、オンラインではわかりづらくなってしまうのだ。
そこで教員側も少しでも学生の声を拾ったり、参加の機会を増やそうと工夫している。授業中に学生とのチャットを取り入れて随時意見や質問を受け付けたり、授業内で投票機能やリアクション機能で学生が参加できるシーンを増やしている。ある教員は、画面をオンにして学生に◯、?などのポーズをとってもらったり、当てて発表する機会を増やしたそうだ。対面にはまだ及ばないが、このような工夫によってコミュニケーションされるようになっている。
またオンラインでは集中力が続きづらいので、教員が一方的に話すだけとでは学生側は疲れるし頭に入りづらくなる。そこで短く区切って作業を挟んだり、考えさせる時間を作るようにするなど、オンラインならではの工夫も必要となる。
アクセスが集中することにより学内システムが落ちるなど、ICT環境が十分ではないことによるトラブルや不満も少なくなかった。しかしこれらの点も改善が進んでいる。「機材を揃えたらしく、画質が良くなって見やすくなっていた。学内システムも改善されていた」とその大学生はいう。
ご紹介したように、オンライン授業にはメリットも多い。コロナ禍が終息したとしても、元に戻るのではなく、対面とオンラインのハイブリッド型授業が主流となりそうだ。オンライン授業の良いところはうまく取り入れつつ、深い学びが得られるよう期待している。