2020年6月頃から、白人警官による黒人暴行死事件を発端にデモが激化したミネアポリスを皮切りに全米コンサート・ツアーを始めた。ただし、コンサートのテーマは「神」と「法と秩序」だった。その後、パンデミック阻止のため、地方自治体の多くが教会堂内での礼拝の禁止を言い出すや、フォイト氏は「信教の自由を保障した憲法に違反する」と主張し、コンサートの大義名分を変えていく。
シカゴやシアトル、ポートランドでは公園などでの開催許可が下りなかったが、「これはコンサートではない。礼拝による抗議だ」と駐車場や公道で集会を強行。ポートランドでは数千人の若者が集まり、市当局は感染者の急増を心配したが、その後、感染者が増えたかどうかは公表されていない。集まった若者たちはPCR検査など受けないので、実態はわからないのである。しかし、彼らの“伝道”がコロナを広げていることは容易に想像できる。
1月6日、大統領選の公式集計を行う上下両院合同会議が行われている連邦議事堂に多数のトランプ支持者が乱入し、警官隊との衝突によって死者も出た。トランプ氏の呼びかけに応じて、バイデン氏の勝利確定への抗議集会をホワイトハウス近くで開催し、参加者の一部が議事堂になだれ込んだ事件だった。
テレビが報じた映像には、「サザンクロス」(南軍戦闘旗)に交じって、「Jesus Trump」(キリスト・トランプ)と書かれた旗を掲げる若者の姿があった。同じ旗は、フォイト氏のコンサート会場でも目撃されている。