ライフ

5種類以上の薬飲む高齢者 4割にふらつきや転倒が生じたデータ

本当に必要な薬をどう見極めるか(イメージ)

「不健康になるリスク」がある薬の飲み方とは?(イメージ)

「これを飲めば症状が改善する」──誰もがそう信じて薬を飲む。だが、それによって健康を悪化させることもある。東京都が発表した処方データから、飲めば飲むほど不健康になる“クスリのリスク”が浮かび上がった。

病院の“使い分け”で薬が増える

 東京都健康長寿医療センター研究所などの研究グループは2020年2月、高齢者の多剤処方に関する論文を発表した。

 同研究では、都内の後期高齢者(75歳以上)約109万人のレセプトデータ(診療情報)を分析。患者1人あたり平均6.4種類の薬が処方され、全体の64.0%の人が5種類以上服用していることが判明した。

 最も多い割合で処方されていたのは降圧薬で66.5%、胃酸抑制薬の38.1%が続いた。

 北品川藤クリニック院長の石原藤樹医師が指摘する。

「高齢化に伴って、複数の慢性疾患を抱える人が増えてきました。疾患ごとに受診する医療機関がそれぞれ異なることが多いため、処方薬の種類が多くなる傾向があり、その分副作用のリスクが高まります。5種類以上を服用している高齢者の4割にふらつきや転倒が生じたというデータもある」

 論文では多剤処方の5つの典型的なパターンを示している(別掲図参照)。銀座薬局の代表薬剤師・長澤育弘氏が語る。

「多剤併用の問題は、飲み合わせによって薬効を打ち消し合ったり、増幅させるという点です。また本来の薬効より副作用のほうが強まってしまうケースもある。こうしたことは今回の調査で分かった5つの処方パターンによく見られます」

※週刊ポスト2021年1月15・22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン