ビジネス

コロナ禍で「理高文低・国公立回帰」強まる大学受験 Fラン大の定員割れは減少

緊急事態宣言下で行われる大学共通テスト(写真は2020年の国公立大2次試験/時事通信フォト)

緊急事態宣言下で行われる大学共通テスト(写真は2020年の国公立大2次試験/時事通信フォト)

 コロナ緊急事態宣言が11都府県に発令されている中で2021年の大学入試シーズンが本格スタートする。1月16、17日の大学入学共通テスト実施を皮切りに、私立大学や国公立大学の試験に突入していく。コロナ禍で大学入試にどんな変化があるのか。ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。

 * * *
 大学共通テストは今回が初めての実施となり、出願者は53万5245人で昨年の大学入試センター試験と比べて4.0%減少した。利用する大学・短大は866校で過去最高だ。50万人以上もの受験生が全国各地の会場に詰めかけるだけに、実施側のコロナ対策は大変だ。マスク着用、入退室時のアルコール消毒、教室の換気、昼食時は自席で会話をしないなどの感染防止対策が講じられるという。

 とはいえ、寒さが厳しい北国では窓を全開にしての換気は困難。そこで東北のある大学では常時強制換気装置の使用や、対角線の窓やドアを10cm程度常時開けるなどの対策を取るとしている。

 試験前日や当日に受験生が共通テストの健康チェックリストに該当するような症状がある場合には、大学側に連絡すれば追試験を申請できるといった対策も発表されている。コロナ禍拡大の中での異例ずくめの共通テストが始まる。

50万人以上が受験する大学入学共通テスト(出願書類の開封作業/時事通信フォト)

50万人以上が受験する大学入学共通テスト(出願書類の開封作業/時事通信フォト)

都会の大学に行っても仕方ない

 長引くコロナ禍は受験生や保護者の心理にも大きな影響を及ぼしている。今年の受験生の志願動向について大手予備校の担当者は、口を揃えて「地元志向」と「資格系学部の人気」を挙げている。

 実際のところ志願状況はどうなっているのか。九州のある私立大学の理事長は、地元紙のインタビューに、こう答えている

〈コロナの影響で、親元から通える、あるいは感染者の多い大都市を避けて地元や地方で、という志向が高まっている。すでに始まった推薦入試では実際に、例年以上に優秀な学生が、県外を含む九州各地から受験してくれている〉

 コロナ禍が長引くなか、昨年来、多くの大学が対面授業を取り止めてオンライン授業に切り替えた。都内の有名私大の学生に話を聞いたところ、

「僕は3年生なので、ゼミのときだけキャンパスに行ってましたが、サークルの後輩の1年生は1回も通ったことがないと嘆いていました」

 と言っていた。年間百数十万円の授業料・施設設備費を納入しながら、キャンパス生活を満足に送れない。しかも、バイト先の飲食店などが営業時短要請などで窮地に陥り、バイト代も満足に確保できない。大都会の学生たちにとっては散々な一年となってしまった。

 感染の恐怖に加え、そんな厳しい学生生活の状況が伝われば、受験生やその保護者たちが都会の大学から地元の大学へと志望先をシフトするのは当然だろう。

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン