定員割れ大学の淘汰に明るい兆し?
もうひとつ、注目されているのが、定員割れを起こしている不人気大学の状況だ。日本私立学校振興・共済事業団の「私立大学・短期大学等入学志願状況」(2020年度)によると、集計学校数593校のうち、定員割れ(充足率100%未満)は184校で、全体の31.0%だった。そのうち40校は80%未満。定員の半分に満たない50%未満は10校ある。
若者人口が年々減少していく中で、日本には795もの大学が存在する。海外からの留学生も受け入れられない状況で、淘汰されていく大学が今後ますます増えていきそうに思えるのだが、そう単純な話でもないらしい。
「地方創生策の一環として2016年から大都市圏への学生の流入を抑制するため私立大学の定員厳格化が進み、有名私立大の難化が進み、受験生の間では、地元志向とともに安全志向の傾向が見られます。
一方で、いわゆるFランク大学と称される低偏差値で定員割れを起こしていたような大学が、さまざまな生き残り改革を行ったこともあり、徐々に学生が集まるようになってきた。その結果、定員割れ大学は4年連続で減少しています。
昨年の志願状況をみても、かつては志願倍率が1倍台だった大学が軒並み2倍から5倍に上がっている。コロナ禍で地元志向・安全志向の学生が、保護者の意向もあって地方のこうした大学に進む可能性も出てきているということです」(前出のジャーナリスト)
緊急事態宣言下で行われる2021年の大学入試は、コロナ禍対策も含め、これまでにない展開になりそうだが、最後にひと言付け加えておきたい。
コロナ禍の影響で、本人の意思とは裏腹に経済困難で大学進学を断念せざるを得ない状況に追い込まれている高校生が少なからずいる。そうした意欲ある生徒たちに、国や自治体は、なんとか支援の手立てを講じてほしいものである。