この新発見は『麒麟がくる』の展開にどう影響するのか。長谷川博己演じる光秀は、本能寺の変の最中、ずっと家臣の報告を待っているのだろうか。NHKは「『麒麟がくる』ならではの新しい明智光秀像を描きたいと考えています」とのことだったが、同ドラマの時代考証を担当している小和田哲男・静岡大学名誉教授はこう語った。
「“面白い史料が出てきたな”というのが率直な感想です。ただし史料分類では“聞き書き”なので一次史料と言えない。斎藤利宗が加賀藩士の甥に語った時に、記憶違いや誤解があった可能性もある。私の考えでは、光秀が鳥羽にいたのは豊臣秀吉の軍と衝突した山崎の戦いのタイミングではないかと思われます。
『麒麟がくる』の最終回については詳しくは言えませんが、これまでの本能寺の変の描写を逸脱しない形になるでしょうね」
前出の萩原氏も、“ラストシーンの変更”は望んでいないようだ。
「貴重な発見ですが、これはあくまでも研究のスタートライン。私自身、大河ドラマが好きなので、“敵は本能寺にあり!”と、ドラマチックに攻め込んでほしいですね」
最終回に“変”は起こるのか。
※週刊ポスト2021年1月29日号