「乙夜之書物」(3巻本)の上巻の一部。1行目に「光秀ハ鳥羽ニヒカエタリ」と記されている=萩原大輔氏撮影、金沢市立玉川図書館近世史料館蔵

「乙夜之書物」(3巻本)の上巻の一部。1行目に「光秀ハ鳥羽ニヒカエタリ」と記されている(萩原大輔氏撮影、金沢市立玉川図書館近世史料館蔵)

非常に現実味がある

 日本史の重大事件であるにもかかわらず、本能寺の変に関する史料は非常に少ない。これまで光秀自身が本能寺に攻め入ったと考えられてきたのは、光秀と交流があった公家の吉田兼見の日記に「惟任日向守(光秀のこと)、信長之屋敷本応寺へ取懸」などと記されていたからだ。東京大学史料編纂所の本郷和人教授が語る。

「これまで光秀自身が軍を率いて本能寺に向かったという決定的な史料はありませんでしたし、逆に“その場にいなかった”という史料もなかった。しかし、今回見つかった史料の内容には非常に現実味があります。

 戦国時代の合戦で大将が最前線に赴くことはまずありません。光秀が家臣を本能寺に向かわせ、自身は後方に控えていたという説は理に適っている。光秀の鎧兜は残っていませんが、当時の武将は非常に派手なものを身につけていたので最前線にいたら鉄砲で狙われて蜂の巣。後方に控えていたと考えるのが自然です」

最終回は……

 ちなみに、大河ドラマの放送に合わせて、その主人公の新史料が発見されることは非常に多い。

 2017年の『おんな城主 直虎』の時は、ドラマのスタート直前に「次郎直虎なる人物は井伊家の家系図に存在しない」と報じられた。2018年の『西郷どん』でも、放送開始3日前に、西郷隆盛の新たな肖像画の発見がニュースになった。

「新しい歴史史料が発見されても、それがメディアに大きく取り上げられることはほとんどない。しかし大河に関連するとなれば話は別。そのため主人公やその時代に関係する史料を掘り起こそうとする郷土史家などが増える。そこにマスコミがスポットを当てるため、“タイミングの良い発見”が強調されるのです」(歴史研究家の一坂太郎氏)

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