ドラマ・映画ライターの小田慶子氏は、「そのジャンルにおける最適解を出せる人」と町田を評する。
「少女漫画原作のものでも少年漫画原作のものでも、それがどういうジャンルの作品で、その中でもどういう“萌え”が求められているのか、しっかり把握・分析できている。与えられた役柄に“寄せる”だけでなく、どう演じれば視聴者に楽しんでもらえるかということを人一倍、意識していることが伝わってきます。スポーツ選手に例えるなら、体操選手でしょうか。ゆか・つり輪・あん馬・跳馬・平行棒・鉄棒の6種目をオールラウンドにこなしているような印象です。しかも、どれも上手い。
例えば少年漫画原作の『今際の国のアリス』のカルベ役は、アウトロー的なところがありつつも、基本は真面目で友達思いというキャラです。親友のアリス(山崎賢人)に別れを告げる場面は、『いいやつだったな』と原作のメインターゲットである男性の涙を誘うでしょう。
一方、BL漫画を原作とした“チェリまほ”での、『顔が良すぎて本当の自分を見てもらえない』という悩みを抱える役なんて、なかなか他の人には演じられません。しかも、主人公の安達は人の心が読めるので、黒沢の心の声はだだ漏れというのが、このドラマのポイント。『心ではドキドキしているのに、口では違うことを言っている』という難しい表現が求められましたが、どの場面でも巧みにコミカルに演じていました」(小田氏)
町田がさらにステップアップするためには、どんな役柄がぴったりだろうか? 小田氏はこんな想像をふくらませる。
「『PRINCE OF LEGEND』シリーズで演じたナルシストキャラのようなイケイケの役もいいのですが、“チェリまほ”の黒沢のように、『とんでもない状況に陥って混乱し、振り回されながらも誠実さを貫く』という役どころが、彼の人気を押し上げると思います」
まだ2021年の出演作については明かされていないが、町田の次なる作品に期待するファンは国外にも大勢いる。あとは、いつお茶の間で人気が爆発するか。種火はしっかりと燃えているのだ。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)