長らく忘れ去られてきた“技術の日産”
だが、日産が今年出す可能性が高い新技術はBEVばかりではない。じつは内燃機関にもひとつ隠し玉がある。それは日産が「e-POWER」と銘打つシリーズハイブリッドシステムの発電用エンジンだ。
日産は2019年、実験室レベルながらガソリンエンジンの熱効率50%を実現させたことを明らかにした。熱効率50%というのは世界のメーカーがレシプロエンジンの次世代目標として激しくつばぜり合いを演じているライン。
当時、あまり大きな話題にはならなかったが、一番乗りはトヨタかホンダか、はたまたダイムラーかフォルクスワーゲンかと言われていたのだが、伏兵日産がいきなり名乗りを上げてきたことに技術系の取材者たちが驚かされたものだった。
次期エクストレイルでガソリンエンジンの熱効率50%実現なるか(時事通信フォト)
問題はそれがいつ実用化されるかということだったのだが、その成果を盛り込んだエンジンを今年、SUVのエクストレイルのe-POWERに搭載するという。50%を達成するかどうかは定かではないが、満を持して出すからには相当なレベルに仕上げてくることは間違いない。
日産は旧型ノートのe-POWERでハイブリッドカーメーカーに本格的に名乗りを上げたが、エンジンは旧式のものの改良版で、燃費競争では一歩後れを取っていた。エクストレイルの燃費審査値や実用燃費が優れたものになれば、長らく忘れ去られてきたブランドアイデンティティである“技術の日産”が、メーカーが自分で言うのではなく、ユーザーの口から語られるようになるかもしれない。