先手を取れなかった9回はガクっときた。それでも1着2回、3着1回。いずれも2、3番手につけたしぶといレースぶり。しかし6回はまるで良いところなし。このへんがツラいところである。
ということで、計7レース的中。悪くはないものの逃げ馬は人気どころも多く、マイナス収支である。
ひとつだけ上手くいった。中山騎乗の▲小林凌大騎手は1Rで逃げて2着(3番人気)。4Rでは11番人気馬を3着に逃げ粘った(この馬券は買えなかった!)。そして7Rは6番人気の馬に騎乗。陣営も逃げ宣言をしている。減量の恩恵と一途な手綱さばきを買ったのである。2番ゲートからすっと出て折り合い上々。ゴール前に追い詰められたがガッツの逃げ切り。「コバリョウ! そのまま!」と、初めてこの名を叫んだのだった。
そうそう、逃げ馬推しの愉しみが「そのまま!」の絶叫だ。秋山稔や泉谷などの減量騎手名を連呼するイメージがある。次回はその辺のデータを。
【プロフィール】
須藤靖貴(すどう・やすたか)/1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2021年2月5日号