スポーツ

【追悼】1977年のハンク・アーロンと王貞治 秘蔵写真を発掘

ハンク・アーロン氏と王貞治氏の関係とは(写真/山本皓一氏提供)

ハンク・アーロン氏と王貞治氏の関係とは(写真/山本皓一氏提供)

 米大リーグ歴代2位の通算755本塁打の記録を持つハンク・アーロン氏が、1月22日(現地時間)に86歳で死去した。

 若き日の王貞治氏(80、現・ソフトバンク球団会長)と腕相撲のポーズで1枚に収まるアーロン氏──別掲写真は王氏が「通算756号」を放ち、当時世界一だったアーロン氏の記録を更新した1977年9月に撮影されたもの。来日したアーロン氏は、本誌・週刊ポストでの対談の席で満面の笑みを浮かべていた(同年10月7日号掲載)。

 来日中に密着取材したカメラマン・山本皓一氏はこう振り返る。

「行く先々で撮影しているうちに、駆け出しのカメラマンだった私にも親しみを持って接してくれました。滞在中はずっと夫人同伴の行動でしたが、ある日、『2人だけで出かけよう。妻には“取材だ”と伝えてほしい』と言い出したのです」

 その時、アーロン氏は「マッサージパーラーに行きたい」と山本氏に頼んだのだという。

「店に着くと『財布は妻がずっと持っているから、マッサージ代を貸してほしい』と。仕方なくお金を渡して1時間ほど店の前で待ち、宿泊先の帝国ホテルに一緒に戻った。すると、アーロン氏は地下の宝石店に寄って指輪をひとつ購入し、夫人には『これプレゼント! 代金はヤマモトに立て替えてもらったから払ってね』と告げたのです。

 その金額に、マッサージ代も上乗せされていた。私への精算を済ませながら、夫人にバレずにマッサージに行くことに成功したアーロン氏は、こっそり私に向けてウインク。とても茶目っ気がある人だった」

 当時の週刊ポスト対談では、引退直後だったアーロン氏が、王氏に「スランプ脱出にはバットを握らない。全く打撃練習をしないこと」とアドバイス。王氏はその夜、観戦中のアーロン氏の前で8試合ぶりにホームランを放ったエピソードもある。

 MLB史に残る大打者は、魅力的な人柄で周囲を自然と盛り上げていく人物でもあったのだ。

※週刊ポスト2021年2月12日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン