重ねるが電動キックスケーターも最初から公道仕様で市販されたものはもちろん、指定された保安部品を備え、自賠責保険に加入の上でナンバープレートを取得した車両なら原付であり、ウーバーイーツに登録できるし配達できる。筆者としては、それなら国産スクーターの安価なモデルでも買ったほうがいいと思うのだが ――。

「外人は免許ないのもいるし、ロングピック(配達員のいる場所から店まで遠いこと)でも行くから、自転車よりマシなのかもね」

 日本以外、アジア諸国の大半は電動キックスケーターにナンバープレートも免許もいらない。そもそも電動スクーターすら免許不要なのでノーヘル2人乗りが普通に走っている。そもそも原付に免許という感覚のない国もある。しかし何度も書くが、ここは日本だ。

 1月16日、名古屋市内で無免許、不法残留のベトナム人ウーバーイーツ配達員が一時停止無視を警察に咎められた末に逆走して転倒、逮捕されたが、こんな配達員に轢かれでもしたらと思うとゾッとする。そんなのはごく一部だ、差別だと言われるかも知れないが、事実である。同じ1月26日には不法残留で就労資格もない別のベトナム人が仲間と共謀、他人に成りすましてウーバーイーツに登録したとして大阪府警に摘発された。これも事実だ。

「指名制は導入して欲しいですね。不良パートナー(配達員)を一掃できるでしょ」

 ウーバーイーツは配達員を評価できても指名はできない。ゆえに無免許で車(白ナン)やバイクを乗り回す不法滞在者があなたの家に料理を届けに来るかもしれない。せっかく昨年8月に月額980円のサブスクリプション型サービス「Eats パス」を導入したのだから指名制にしても良さそうなもの、これについてもウーバージャパンに問い合わせたが、「確定していない予定については有無も含めてお答えしておりません。寄せられた皆様のお声を踏まえ、更なる利便性向上に努めてまいります」とのことで、当分無理だろう。

「ま、原2が最強ですよ、原チャリ(ここでは50cc以下の原付1種のこと)なんて白バイの餌です」

 雨はすぐ雪に変わり、大粒になってきた。雨や雪のほうがよく鳴るのだろう、彼は「鳴ったから」と125cc(ピンクのナンバー、合法)のスクーターで走り去った。確かに普通自動二輪小型限定以上の免許を持っていることが前提だが、ウーバーイーツをやるなら黄色のナンバー(50cc超90ccまで)やピンクのナンバー(90cc超125ccまで)の原付2種が最強だろう。50cc以下の原付(白いナンバー)は30km制限だし二段階右折もある。それらを日本の道路事情で厳守するのは現実的ではないし、筆者も個人的にはおすすめしない。

 厚生労働省が1月29日に発表した2020年平均の有効求人倍率は、第1次石油危機後の1975年以来45年ぶりの下げ幅となった。コロナ禍は歴史上まれに見る雇用危機を生み出した。日本人も外国人も、非正規の多くは解雇、もしくはシフトを削られ生活が成り立たなくなっている。その余波は、副業せざるを得ない一部の正社員にまで及んでいる。次から次へ、手っ取り早く金が必要な状況に追いやられている。ウーバーイーツの配達員は手軽に始められるシノギである。かつてはギグワークだったが、いまやシノギだ。それは構わないが、違法に他人を巻き込む行為となれば問題だろう。電動キックスケーターはウーバーイーツに限らず違法な状態で乗っている輩が散見されるが絶対やめて欲しい。ましてやそれで配達などイカれてる。そもそも電動キックスケーターでなくとも、ウーバーイーツに登録外の車両を使用するのは絶対やめて欲しい。保険も適用されず、人生が終わる。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。2017年、全国俳誌協会賞。2018年、新俳句人連盟賞選外佳作、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞。寄稿『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社)、著書『ルポ 京アニを燃やした男』(第三書館)など。

関連キーワード

関連記事

トピックス

11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(右/読者提供)
【足立区11人死傷】「ドーンという音で3メートル吹き飛んだ」“ブレーキ痕なき事故”の生々しい目撃談、28歳被害女性は「とても、とても親切な人だった」と同居人語る
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《中国とASEAN諸国との関係に楔を打つ第一歩》愛子さま、初の海外公務「ラオス訪問」に秘められていた外交戦略
週刊ポスト
グラビア界の「きれいなお姉さん」として確固たる地位を固めた斉藤里奈
「グラビアに抵抗あり」でも初挑戦で「現場の熱量に驚愕」 元ミスマガ・斉藤里奈が努力でつかんだ「声のお仕事」
NEWSポストセブン
「アスレジャー」の服装でディズニーワールドを訪れた女性が物議に(時事通信フォト、TikTokより)
《米・ディズニーではトラブルに》公共の場で“タイトなレギンス”を普段使いする女性に賛否…“なぜ局部の形が丸見えな服を着るのか” 米セレブを中心にトレンド化する「アスレジャー」とは
NEWSポストセブン
日本体育大学は2026年正月2日・3日に78年連続78回目の箱根駅伝を走る(写真は2025年正月の復路ゴール。撮影/黒石あみ<小学館>)
箱根駅伝「78年連続」本戦出場を決めた日体大の“黄金期”を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈1〉「ちくしょう」と思った8区の区間記録は15年間破られなかった
週刊ポスト
「高市答弁」に関する大新聞の報じ方に疑問の声が噴出(時事通信フォト)
《消された「認定なら武力行使も」の文字》朝日新聞が高市首相答弁報道を“しれっと修正”疑惑 日中問題の火種になっても訂正記事を出さない姿勢に疑問噴出
週刊ポスト
地元コーヒーイベントで伊東市前市長・田久保真紀氏は何をしていたのか(時事通信フォト)
《シークレットゲストとして登場》伊東市前市長・田久保真紀氏、市長選出馬表明直後に地元コーヒーイベントで「田久保まきオリジナルブレンド」を“手売り”の思惑
週刊ポスト
ラオスへの公式訪問を終えた愛子さま(2025年11月、ラオス。撮影/横田紋子)
《愛子さまがラオスを訪問》熱心なご準備の成果が発揮された、国家主席への“とっさの回答” 自然体で飾らぬ姿は現地の人々の感動を呼んだ 
女性セブン
26日午後、香港の高層集合住宅で火災が発生した(時事通信フォト)
《日本のタワマンは大丈夫か?》香港・高層マンション大規模火災で80人超が死亡、住民からあがっていた「タバコの不始末」懸念する声【日本での発生リスクを専門家が解説】
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 習近平をつけ上がらせた「12人の媚中政治家」ほか
NEWSポストセブン