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2021.02.11 16:00  週刊ポスト

コロナ禍で移動が難しい今こそ新発想と技術で「儲かる農業」へ

大前研一氏が考える「儲かる農業」とは(イラスト/井川泰年)

大前研一氏が考える「儲かる農業」とは(イラスト/井川泰年)

 働き方改革が、新型コロナウイルスの感染拡大によって強制的に進みつつある。オフィスへ出勤できなくなった人だけでなく、飲食業低迷の影響を大きく受けている農業も、産業として体質の変化を求められている。経営コンサルタントの大前研一氏が「儲かる農業」へのシフトについて解説する。

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 新型コロナウイルス禍で「働き方」が大きく変わりつつある。場所に縛られず、地方に移住してオンラインで仕事する人も増えている。

 その一方で、日本の農業は構造的な衰退に歯止めがかからない。農林水産省の統計によると、2020年の農家戸数は174万7000戸で、5年前に比べて40万8000戸減少し、基幹的農業従事者(※自営農業に主として従事した世帯員のうち、ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)は136万1000人で、同39万6000人減った。基幹的農業従事者のうち65歳以上が占める割合は69.8%で、5年前に比べて4.9ポイント上昇。要は農家が大幅に減り、農業従事者の高齢化も年々進んでいるのだ。

 そういう日本の農業がこれから取り組むべきは「儲かる農業」へのシフトだろう。すでにロボットやICT(情報通信技術)、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの先端技術を活用した「スマート農業」を導入し、省力化や生産物の品質向上を図っている農家も珍しくないが、なお改善の余地はある。

 私は食いしん坊なので、「食」と「食材」に対する関心は非常に高い。以前はネットスーパー「エブリデイ・ドット・コム」を経営して、新鮮でリーズナブルな農産物や水産物の仕入れに腐心していたし、今は熱海のリゾート温泉旅館「せかいえ」の経営者としてレストランで提供する美味しい食材の調達などを研究している。また、趣味のスノーモービルやオートバイで長野県をしばしば訪問し、その縁で何人もの生産者と知り合い、交流している。

 そうした知己の中でも、飯山市の農家が鍋倉山の麓(なべくら高原)で作っている大根が絶品なので、大手スーパーの経営者に直取引してもらえないかと打診した。なぜなら、その生産者は「年間10万本抜いているので、1本100円もらえれば十分満足」と言うのだが、農業協同組合(JA)に出すと他の生産者の大根と一緒くたになった上に流通業者を経てスーパーや八百屋の店頭に並んだ時は1本400円前後になってしまうからである。つまり、生産者と消費者の間に介在している農協や問屋などが小売価格の75%ものマージンを抜いているわけだ。

 長野県で言えば、飯山市のアスパラガスは太くてジューシーで最高だ。これも品質にうるさいレストランなどは農家から直接取り寄せている。北志賀高原の西斜面で作ったリンゴは12月中旬にもぎ取ると、蜜入りで実に旨い。それらの価値がわかる消費者が農家から直接購入するようになり、市場にはほとんど出回らない。

 このように特徴のある農産物はブランド化して「D to C(Direct to Consumer)」に近い仕組みを大々的に導入すれば、農家は今までよりもはるかに儲かるし、消費者は新鮮で美味しい食材を安く手に入れることができるようになる。

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